製造業でAI業務改善を始める方法|現場のExcel地獄を脱出した実体験

「AIで業務改善したいとは思うけど、何から手をつければいいかわからない…」

製造業で働いていると、こういう状況になりがちではないでしょうか。「AIを使えば業務が楽になる」とは聞くけれど、現場はExcelだらけ、紙だらけ。DXとか言われても、どこから始めればいいか全然ピンとこない。

私は現在、フィルムパッケージの製造会社で総務部に所属しています。以前は生産管理を7年ほど担当していたので、製造現場の「Excel地獄」はよく知っているつもりです。

そのExcelで手計算していた業務を、生成AIを使ってWebアプリに変えた経験があります。その話を中心に、製造業でAI業務改善を始めるための具体的な方法をそのまま書きます。

結論:最初にやることは「毎日触るExcel」を1つ選ぶだけ

製造業のAI業務改善で一番多い失敗は、「大きな目標を立てすぎて動けなくなること」です。

AIで工場の生産ラインを自動化する、
需要予測システムを構築する、

とか。

それは最終的にできるかもしれませんが、最初の1週間でやることではありません。

  1. 毎日自分が触っているExcel計算シートを1つ選ぶ
  2. 生成AIにそのロジックを説明してWebアプリを作ってもらう
  3. 社内で共有できる形にする

製造業のAI業務改善がうまくいかない人の共通パターン

「AIツールを探す」から始めてしまう

AI業務改善を始めようとした人がまずやることは、「どんなツールがあるか調べる」です。ChatGPT、Copilot、Gemini、Notion AI…。調べれば調べるほど選択肢が増えて、結局どれも試さずに終わる。私のまわりでも、「AI導入の勉強会をしました」という段階で止まっている人が多いのです。

ツール選びは後でいい。先に「何を改善したいか」を決めることが先決です。

「現場には難しい」と思い込んでいる

「AIって、IT企業とかDX推進部門がやるものでしょ」という空気が製造業には根強くあります。そんなことはありません。むしろ製造業のほうがAI業務改善の恩恵を受けやすい現場が多い。

理由は単純で、Excelやアナログで管理している業務がまだまだ多いからです。

「許可が降りるまで動けない」と思っている

個人のPC上でChatGPTを使って計算ロジックを整理するだけなら、今日からできます。自分の業務効率を上げることは、自己改善の範囲内なのです。

製造業でAI業務改善を始める3ステップ

ステップ1:自分の「毎日触るExcel」を1つ特定する

例えば以下です。

  • 重量や面積の計算シート
  • 発注数の計算表
  • 工程ごとの時間集計シート
  • 月次の在庫管理表
  • 品質検査の記録シート

私が生産管理をしていたとき、フィルムパッケージの素材ごとの計算式をExcelで管理していました。担当者が変わるたびに数式を教え直す必要があり、ミスも起きやすかった。この「教え直しが必要な計算Excel」こそが、AI化の候補No.1です。

ステップ2:生成AIに「Webアプリにして」と頼む

「このExcelの計算ロジックをWebアプリにしてほしい。HTMLとJavaScriptで書いて。入力欄は〇〇と〇〇で、計算結果を表示する形にして。」

プログラミングの知識がなくても大丈夫です。

私がfilmtools.jpを作り始めたきっかけもこれです。Excelで管理していたフィルムパッケージの計算式を、生成AIに説明しながらWebアプリに変換していった。最初のツールは半日で形になりました。

自分でゼロから書くより圧倒的に速いのです。

ステップ3:社内で使えるカタチにして共有する

最初は自分のPCのブラウザで開くだけでも十分です。「このページを開けば計算できるよ」と共有するだけで、担当者間での計算ミスが減り、教え直しの手間がなくなります。製造現場が抱えている「情報・作業の属人化」というのは、結局「Excelが共有されていない」問題とほぼ同義なのです。

私が実際にやったこと:filmtools.jp の事例

フィルムパッケージ業界では、素材の面積・重量・コストの計算を担当者ごとにExcelで管理している会社が多いです。

計算式の管理が個人任せなので、担当が変わると引き継ぎに時間がかかる。

「これ、Webアプリにしたら全員が同じ計算ツールを使えて楽になるのでは?」

と思ったのがきっかけです。

計算ロジックを生成AIに説明して、HTMLとJavaScriptのコードを出力してもらう。動かない部分はエラーメッセージを貼り付けて直してもらう。

この繰り返しで、最初のツールは数時間で完成しました。コードの大半は生成AIが書いています。私がやっていることは「何を作るかを決めて、AIに伝えて、動作確認する」だけです。

AI業務改善ツール比較:製造業の用途別おすすめ

用途おすすめツール特徴
計算・アプリ作成ChatGPT / Claude計算ロジックをコード化してくれる
文書・報告書作成ChatGPT / Copilotテンプレートから叩き台を生成
画像・外観検査補助ChatGPT Vision不良品の画像を判定補助
データ分析・グラフChatGPT(Code Interpreter)ExcelデータをアップロードしてAIが分析
社内FAQ対応NotionAI / Slack AI社内マニュアルをAIが検索・回答
需要予測Azure AI / Amazon Forecast本格導入向け、IT部門と連携必要

最初はChatGPTかClaudeの無料プランで十分です。

月額3,000円前後の有料プランにすると、Excel・PDFのアップロードや長いやりとりができるようになりますが、おそらく不要です。

業務改善を加速したいならプログラミングは必ず役に立つ

生成AIでアプリを作れると言っても、「プログラムを読む力」がゼロだと途中で詰まることがあります。

エラーが出たとき、何が起きているかわからないと修正の指示も出せない。生産管理時代に独学でPythonとJavaScriptを学んでいたことが、今になって一番役に立っていると感じています。

プログラミングを学ぶのは今すぐでなくてもいい。
でも、学んでおいて損をしたことは一度もありません。

Progate(無料で始められる)やUdemy(セール時に1,500円〜)で、HTMLとJavaScriptから入るのがおすすめです。製造業の業務改善に使う分には、これで十分です。

まとめ

  • 最初の1歩は「毎日触るExcelを1つ選ぶ」こと
  • ツール選びより先に「何を改善したいか」を決める
  • 生成AIにコードを書いてもらうだけで、半日でアプリが完成する
  • 共有することで属人化・ミスを同時に減らせる
  • プログラミングは知識ゼロでも今から学ぶ価値がある

自分が毎日触っているExcel1枚を特定して、今週中に生成AIに投げてみること。それだけです。製造業のAI業務改善は、高額なシステムを入れることではありません。現場の人間が自分の手で「ちょっと楽になる仕組み」を作ることから始まるのです。

あなたの”現場スキル”はもっと価値がある

AI業務改善を進めていくと、「自分でツールを作れる人」は社内で一気に重宝されます。

ただ、今の職場がAIや改善提案に全く興味がない環境なら…正直、力を発揮しにくいのも事実です。プログラミングや資格の勉強は、今の職場で役立てるためだけではありません。

転職市場でも「IT×製造業の知識がある人材」は需要が高まっています。

もし今の職場に可能性を感じられないなら、転職を検討するのも一つの手です。製造業出身でAIや業務改善の経験がある人材は、DX推進中の企業から引き合いが増えています。