業務改善をしろと言われたけれど、何から手をつければいいのかわからない——そんな状態になっていないでしょうか。
ネットで調べると「まずシステムを導入しましょう」「ツールを比較しましょう」という情報ばかり出てきます。でも、自分の職場に何が合うのかは、結局よくわからないままだったりしますよね。
私は総務・生産管理の現場を経験したあと、非エンジニアの状態から業務改善ツール「filmtools.jp」を自作しました。その過程で気づいたのは、業務改善で最初につまずくのは「技術」ではなく、「何を改善するか」を決める部分だったということです。
この記事では、業務改善を始める前に何を決めればいいのか、実際にツールを作った経験をもとに解説します。読み終えるころには、今日から着手できる最初の一歩が見えているはずです。
業務改善、何から始めればいいかわからなくなる理由
業務改善が進まないとき、真っ先に「どのツールを入れるか」「どのシステムを比較するか」を調べ始めていないでしょうか。私も最初はそうでした。
正直に言えば、これは順番が逆なんですね。「システムを作ること」に意識が向きすぎると、肝心の「何を改善するのか」が置き去りになります。
私自身、生産管理の現場でフィルム関連の重量・巻径・単位換算を手計算していました。当時「効率化しなきゃ」と思ったとき、頭に浮かんだのは「何のツールを使おうか」でした。でも、その前にやるべきことがあったのです。
「システムを作ること」に意識が向いてしまう罠
業務改善という言葉を聞くと、多くの人が「大きなシステムを導入すること」「かっこいい自動化の仕組みを作ること」を想像します。私も非エンジニアからプログラミングを学び始めたころ、同じように考えていました。
でも、実際に現場で困っていたのは「毎回同じ計算を手でやっていて、電卓の打ち間違いや単位換算のミスが起きやすい」という、地味な繰り返し作業でした。派手なシステムを作る前に、この「何が困っているのか」を見極める段階が抜け落ちていたら、たぶん今のfilmtools.jpは生まれていません。
業務改善で最初に決めるべきは「技術」より「何をなくすか」
業務改善を始めるときに最初に決めるべきことは、使う技術でも、導入するツールでもありません。「どの作業をなくす・減らすのか」です。
これだけ聞くと当たり前に思えるかもしれませんが、実際に手を動かそうとすると、意外と多くの人がここを飛ばしてしまうんですよね。
繰り返し発生する作業を観察して切り出す
私が実際にやったのは、まず自分の業務を観察することでした。特別なフレームワークを使ったわけではありません。「これ、毎回同じことをやっているな」と感じる作業を、日々の中で書き出しただけです。
生産管理の現場では、フィルムの重量計算や巻径からの単位換算を、案件が来るたびに手計算していました。1回1回は数分の作業でも、毎日何度も発生する。しかも電卓の打ち間違いや単位換算のミスが、後工程の資材手配にまで響くことがありました。
「毎回同じ計算をしている」「Excelや電卓で繰り返している」——こうした作業が、業務改善の最初のターゲットになります。逆に言えば、月に1回しか発生しない特殊な作業は、後回しでいいわけです。
小さな機能から始めて、必要に応じて広げる
「何を改善するか」が決まったら、次にやりたくなるのが「最初から完璧なシステムを作ること」です。ここも、私がよくつまずいたポイントでした。
filmtools.jpを作ったとき、最初に手をつけたのは単位換算の機能だけでした。生産管理の現場で一番頻繁に発生していた「重さと巻径の換算」を、まずWebツールにしてみたのです。全体の業務フローを一気に自動化しようとはしませんでした。
単位換算という一番小さな機能が動くようになってから、順番に機能を追加していきました。この順番だったからこそ、非エンジニアの自分でも挫折せずに続けられたのだと思います。
いきなり大きなシステムを目指すと、途中で「これ、いつ完成するんだろう」と手が止まりがちです。まず1つの作業だけを楽にする、というところから始めるのが現実的です。
業務改善は「時短」より「ミスを減らす」ことに価値がある
業務改善というと「時間が短くなること」を成果としてイメージしがちです。でも、私の場合、作業時間の短縮そのものは正直そこまで大きくありませんでした。
一番の効果は「計算ミスが減ったこと」でした。特に、計算ミスによって資材の数量を誤り、入荷後に再手配が発生する——いわゆる「手戻り」を防げるようになったことが大きかったのです。
手計算のミスは、その場では小さなことに見えます。でも後工程に伝わると、納期の遅れやコストロスという形で跳ね返ってきます。この「後で効いてくる問題」に気づけるかどうかが、業務改善の目のつけどころとして重要なんですね。
この経験から学んだのは、業務改善は「時短」より「ミスを出さない確実さ」に価値があるケースが多い、ということです。派手な自動化より、間違えない仕組みの方が現場では効くことがあります。
今日からできる、業務改善の最初の一歩
ここまでの内容を、今日から動ける形に整理します。業務改善を始めるときに確認したいポイントは次の3つです。
- 自分の業務の中で「毎回同じことをしている」作業を1つ書き出す
- その作業でミスや手戻りが起きたことがあるか振り返る
- 最初から全部を自動化しようとせず、その作業だけを楽にする方法を考える
ツールを何で作るか、どんな技術を使うかは、この後で決めれば十分です。まずは「何をなくす・減らすのか」を1つに絞り込むところから始めてみてください。
実際に私が作った単位換算ツールは、その後filmtools.jpとして製造現場で使えるところまで育ちました。最初から大きなものを目指さなかったからこそ、続けられたのだと感じています。
まとめ:業務改善は「何を改善するか」を決めることから始まる
業務改善で最初につまずきやすいのは、技術の選び方でもツールの比較でもなく、「何を改善するか」を決める段階です。
繰り返し発生する作業を観察して1つ切り出す。最初から完璧を目指さず、小さな機能から始める。そして、時短だけでなく「ミスを出さない確実さ」にも目を向ける。この3つが、私が現場での試行錯誤から得た最初の一歩です。
何から始めるか迷っているなら、まず自分の業務を1つ書き出してみるのがおすすめです。
実際に単位換算から作り始めたツールは、filmtools.jpとして公開しています。どんな計算をツール化したのか、実物を見てみたい方は覗いてみてください。
関連記事
- 業務改善が定着しない3つの理由と、現場で続いた設計の話(改善を決めた後、続ける段階で読みたい方へ)
- 製造業の業務改善事例10選(他社の事例を見てみたい方へ)
- 製造業でPythonを導入するとどう変わるか(具体的な手段を検討したい方へ)