総務のWebアプリ入門|kintone・SmartHRなど状況別おすすめ8選【総務歴10年が解説】

「Webアプリって便利そうだけど、何から始めればいいかわからない…」

総務担当として、そう感じたことはありませんか。

備品管理台帳はExcelバラバラ、稟議書は紙で回覧、社員名簿は自分しか触れないファイル——。「いつかWebアプリに移行したい」と思いながら、気づけば何年も経っていた、という話は珍しくありません。

私自身、総務歴10年のなかでExcel管理の限界を痛感した経験があります。備品管理台帳が複数バージョン乱立して引き継ぎに丸2日かかったこと、稟議の状況が誰にも見えなくて上司から「今どうなってる?」と毎朝聞かれたこと。どちらも「Webアプリがあれば5分で解決できた話」でした。

ただ、いざ調べると情報が多すぎて混乱する。kintone、SmartHR、desknet’s NEO、CELF…名前だけ並べられても「自分の職場でどれを使えばいいか」がわからないんですよね。

この記事では、「総務のWebアプリ」をSaaS型(既製品を使う)ノーコード自作型(自分でアプリを作る)の2軸で整理し、どちらが自社の状況に合うかを判断できるようにします。業務別の活用場面5選、おすすめWebアプリ8選、最初の始め方まで、非エンジニアの総務担当者がそのまま動けるレベルで解説します。

総務における「Webアプリ」とは何か——SaaS型とノーコード型の違い

まず、「Webアプリ」という言葉の整理から始めます。ここを混同すると、ツール選びで迷い続けることになります。

総務担当が検索したときに出てくる「Webアプリ」は、大きく2種類に分かれています。

種類内容代表例向いている状況
SaaS型既製のWebアプリを月額で使うSmartHR、楽楽精算、LOOGUE FAQ人事・労務・経費など汎用業務
ノーコード自作型プログラミングなしで自社専用アプリを作るkintone、desknet’s NEO AppSuite、CELF自社固有の業務フロー・社内申請

この2つは、目的が根本的に違います。

SaaS型:既製のWebアプリを使う

SmartHRやfreee人事労務のような「SaaS型」は、すでに完成したWebアプリに自社データを登録して使う形です。

設定の手間は最小限で、操作マニュアルも整っている。機能はある程度固定されていますが、「人事・労務管理なら何でもカバーしている」という安心感があります。

ただし、「自社独自のフロー(稟議の承認ルートが部署によって違う、など)」には対応しにくい場合があります。

ノーコード自作型:業務に合わせて自分でアプリを作る

kintoneやdesknet’s NEO AppSuiteは、「プログラミングなしでWebアプリを自作できるツール」です。

備品管理台帳・社内FAQシステム・稟議ワークフローなど、自社の業務フローに合わせた形で作れる点が最大の特徴。「こういう機能が欲しいんだけど市販ツールにない」という総務あるあるを解決できます。

私が実際にkintoneに触れたとき、驚いたのは「Excelの関数が少し使える人なら、1〜2週間で基本的なアプリを作れる」という事実でした。最初は半信半疑でしたが、備品管理アプリをドラッグ&ドロップで組んでみて、「これならうちでも使える」と感じました。

どちらを選ぶべきか——判断フロー

迷ったときは、以下の判断フローで考えると整理しやすいです。

  • 「人事・労務・経費精算など、業界共通の業務」 → SaaS型が合いやすい
  • 「社内申請・備品管理・社内FAQ など、自社固有のフローが絡む業務」 → ノーコード自作型が合いやすい
  • 「IT担当がおらず、自分で設定や維持をする自信がない」 → まずはSaaSの無料プランから試す
  • 「Excelで作った台帳やフォームをそのまま移行したい」 → ノーコード型が向いている

どちらが「正解」というわけではなく、業務の性質と社内のIT体制で変わります。この記事では両方の視点で紹介しますので、自分の状況に合ったものを見つけてみてください。

(→ 総務DX全体の進め方については 総務DX、何から始める? も参考にしてください)

総務業務でWebアプリが特に効果的な場面5選

「Webアプリで何ができるか」の話をする前に、「どの業務に使うと最も効果が出やすいか」を整理します。

総務業務は範囲が広い。すべてをWebアプリに移行しようとすると失敗します。まず「効果が出やすいところ」に絞ることが一番の得策です。

① 備品管理(台帳のExcel脱却)

Before:備品管理台帳がExcelファイルで存在し、担当者しか更新できない。誰かが台帳を開いたまま帰ると、他の人が更新できない。バージョンが複数生まれて「どれが正しいか」がわからなくなる。

After:Webアプリ上でリアルタイムに更新される。複数人が同時に参照・更新でき、履歴も自動で残る。担当者が休んでいても誰でも確認できる。

備品管理は属人化が最も起きやすい業務の一つです。「その人しかわからない台帳」を引き継ぐコストは、実は膨大なのです。

② 社内申請・ワークフロー(稟議フローのペーパーレス化)

紙の稟議書が「今どこにあるか」わからない問題、経験ある方は多いのではないでしょうか。

Webアプリ化すると、申請状況が一覧で確認でき、承認待ち・差戻し・完了が一目瞭然になります。「あの稟議はどうなりましたか?」という確認作業がなくなるだけで、上司への報告コストが大幅に下がります。

kintoneやdesknet’s NEOのワークフロー機能は、この用途に特化して設計されています。

③ 社内問い合わせ対応(FAQシステム)

「有給の申請方法は?」「健康診断の予約はどこから?」——総務への問い合わせは、9割が同じ質問の繰り返しです。

社内FAQをWebアプリ化すると、社員が自分で調べて解決できる状態になります。Webアプリにアクセスして検索するだけ。問い合わせ件数が大幅に削減できるケースは多く、「半分以下になった」という声もよく聞きます。

(→ 社内問い合わせの効率化については 社内問い合わせを効率化する方法6選 でも詳しく解説しています)

④ 入退社管理・社員名簿

入退社の手続きは、書類・システム登録・貸出物の回収と、複数のタスクが絡み合う。チェックリストをWebアプリで管理すれば、「あの手続きを忘れた」というミスをほぼゼロにできます。

社員名簿も、紙やExcelで管理していると更新漏れが起きやすい業務のひとつです。Webアプリにして権限設定すれば、各部署が自部署のメンバー情報を自ら更新できるようになります。

⑤ 社内通知・お知らせ配信

「全員に一斉にお知らせを届ける手段が、メールしかない」という状況の会社は、まだ多いです。

社内ポータルやお知らせ掲示板をWebアプリ化すると、既読確認ができ、過去のお知らせも検索できるようになります。「あの通知、見た?」のやりとりがなくなるだけで、総務の確認作業が相当楽になります。

(→ 自動化できる業務の全体像は 総務の自動化すべき業務15選 も参考になります)

【状況別】総務担当者におすすめのWebアプリ選び方

「どれが自分に合うか」を判断するために、3つのパターンに分けて整理します。

パターンA:Excel地獄から脱出したい → ノーコード自作型

備品管理・社内申請・備品貸出管理など、自社独自のフローがあってExcelで管理している業務が多い場合は、kintoneやdesknet’s NEO AppSuiteが合いやすいです。

市販のSaaSに「ちょうどいい機能」がなくて困っている人には、特におすすめです。Excelで作っていたフォームや台帳を、ほぼそのままWebアプリに移行できます。

費用感:kintoneはスタンダードコースで1ユーザー月額1,500円〜。30日間無料トライアルあり。

パターンB:人事・労務も一緒に管理したい → HR系SaaS

入退社管理・社会保険手続き・給与計算など、法的に決まったフローが多い人事・労務領域は、SmartHRや人事労務freeeのようなHR系SaaSが適しています。

業法対応のアップデートが自動で行われる点も、SaaSの大きなメリットです。毎年の法改正をシステム担当に依頼せず、自動で対応してくれる。

費用感:SmartHRは従業員数・利用機能によって異なり、詳細は公式サイトで確認できる。30名以下の小規模企業向けにも対応したプランがあり、目安は要問い合わせ。

パターンC:ITに自信がない・予算がない → まず無料で試せるSaaS

「Webアプリと言われても、設定できるか不安…」という方は、無料プランがある軽量SaaSから試すのが一番の得策です。

社内FAQなら「LOOGUE FAQ(無料プランあり)」、情報共有なら「Notion(個人・小チーム向け無料)」など、まずゼロ円で体感できるツールがあります。

最初から大きなツールを入れようとすると、社内承認や費用の壁で止まりやすい。小さく始めて「効果が出た」実績を作ってから、次のツールを導入するのが現実的な進め方です。

総務でよく使われるWebアプリ8選(業務別)

競合記事のように30本羅列しても選べないので、実務で使われている代表的なツールに絞って紹介します。

ノーコード自作型:kintone / desknet’s NEO AppSuite / CELF

① kintone(サイボウズ)

ノーコード自作型の中で最も知名度が高く、導入事例が豊富。備品管理・社内申請・FAQシステムなど、総務業務との相性がいいサンプルアプリが多数公開されています。

「作れるものの自由度が高い」一方、「設定項目が多くて最初は迷う」という声もある。30日無料トライアルで触ってから判断するのがおすすめです。

② desknet’s NEO AppSuite(ネオジャパン)

グループウェア(desknet’s NEO)と連携して使えるのが特徴。すでにdesknet’s NEOを導入している会社なら追加コストを抑えやすい。

44種類以上の総務向けアプリがライブラリとして用意されており、「ゼロから作る」よりも「テンプレートを編集する」感覚で始められます。

③ CELF(アステリア)

Excel感覚で使えるノーコードツール。「Excelで作っていた管理表をそのままWebアプリ化したい」というニーズに特化した設計です。

RPA連携やAI活用オプションもあり、将来的な自動化との組み合わせも視野に入れやすいです。

SaaS型(HR・労務):SmartHR / 人事労務freee

④ SmartHR

クラウド人事労務のシェアNo.1(自社調べ)。入退社手続きから社会保険・雇用保険の電子申請まで、労務のほぼ全業務をカバーしています。

「紙で送っていた書類をオンラインで完結させる」だけで、月に数時間の作業が削減されたという声は多い。導入ハードルはやや高めですが、その分得られるリターンも大きいです。

⑤ 人事労務freee

会計freeeと連動できるため、経理・労務を一元管理したい会社に向いています。小規模企業向けのプランも充実しており、従業員数が少ない段階でも使いやすいです。

SaaS型(備品・問い合わせ):ラクネコ / Qast / LOOGUE FAQ

⑥ ラクネコ(ピアズ)

受付・来客管理に特化したSaaS。iPadに置いて受付業務を無人化できます。総務が「来客対応のために席を離れられない」という状況の解消に直結するツールです。

⑦ Qast(any)

社内FAQと情報共有を組み合わせたSaaS。「社内Wiki + FAQ」の機能を持ち、よくある質問を自社で蓄積・更新できます。検索性が高く、社員が自己解決しやすい設計です。

⑧ LOOGUE FAQ(ナレッジ・マーチャント)

問い合わせ対応に特化したFAQシステム。無料プランあり。まず「社内FAQを試してみたい」という段階の入門ツールとして使いやすいです。

(→ 業務効率化ツールの全体像は 総務の業務改善アイデア10選 もあわせて参考にしてください)

非エンジニア総務担当が最初に試すべきWebアプリの始め方

「どのツールか決まったとして、何から始めればいいか」——ここが最後の壁です。

ノーコードから始める場合(kintoneの場合)

kintoneを試す手順はシンプルです。

  1. kintone公式サイトで30日無料トライアルに申し込む
  2. 「アプリの作成」から、用意されているテンプレート(備品管理・ワークフロー等)を選ぶ
  3. まずテンプレートをそのまま使ってみて、使い勝手を確かめる
  4. 「ここは自社に合わせて変えたい」という点を1〜2箇所だけカスタマイズしてみる
  5. 2〜3人に試験的に使ってもらい、フィードバックをもらう

最初から完璧なアプリを作ろうとしないことが重要です。「現状のExcel管理より少し便利」という状態をまず作る。それだけで社内の反応が変わります。

私が備品管理をWebアプリ化したとき、最初のバージョンは「品名・数量・場所・担当者」の4項目しかない簡素なものでした。それでも「Excelを探すよりずっと早い」と好評で、その後徐々に機能を追加できました。

SaaSから始める場合(SmartHRの場合)

  1. SmartHR公式サイトで無料デモを申し込む
  2. 「どの業務から導入したいか」を明確にしてデモを受ける(入退社手続きだけでOK)
  3. 費用対効果を試算して上司に提案する(月の作業時間×時給で算出)
  4. まず1〜2機能から始め、慣れてから拡張する

社内承認を通すためのポイント

ツールを導入するには、ほぼ必ず上司や経営者への説明が必要です。

このとき、抽象的な「便利になります」ではなく、「月に○時間の作業が削減できます」という数字で話すのが一番の得策です。

例:「備品管理台帳の確認・更新に月10時間かかっています。Webアプリ化で3時間以内にできると試算しています。ツール費用は月3,000円です。」

時給換算と費用比較を具体的に出すと、稟議は通りやすくなります。

(→ 社内提案の通し方は 総務の業務改善提案を通す方法 で詳しく解説しています)

まとめ:総務のWebアプリ選び、迷ったらこの順番で動こう

総務のWebアプリは、「SaaS型(既製品を使う)」と「ノーコード自作型(自分で作る)」の2種類があります。どちらが向いているかは業務の性質によって変わります。

  • 人事・労務・経費など汎用的な業務 → SmartHRなどSaaS型
  • 自社固有の申請・台帳・FAQ → kintoneなどノーコード型
  • まず試してみたい・予算が少ない → 無料プランのあるSaaSから

最初から全業務をWebアプリ化しようとしないこと。「一番属人化しているExcel台帳」を1つ選んで、そこから始めるのがいい。

動けないまま時間だけ過ぎていくのが、一番もったいないパターンです。まずkintoneの無料トライアル、またはSmartHRの無料デモを申し込んでみるところから動いてみてください。


「kintoneで備品管理アプリを作ってみたい」「社内稟議フローをWebアプリ化したい」という方向けに、総務向けkintoneアプリ設計テンプレート集をNoteにて準備中です。備品管理・社内FAQ・稟議ワークフローの設計図テンプレートをまとめる予定ですので、公開時にご確認ください。