
「AIを使えば業務ツールが作れる、とは聞くけど、具体的にどうやるの?」
と思っていませんか。
ChatGPTに「ツールを作って」と言っても、コードが返ってくるだけで「それをどこに貼ればいいの?」で止まってしまう。私もそういう時期がありました。
プログラミングを独学で始めた頃、最初の壁は「コードをどこで動かすか」ではなく「どんな仕様をAIに伝えればいいか」でした。伝え方がわかると、AIが出してくるコードの精度が一気に上がります。
この記事では、AIを使って業務ツールを作る手順を、仕様の考え方→AIへの伝え方→動かし方→公開まで、実体験をもとに解説します。 コードを自分で書く必要はありません。
結論:AIへの「伝え方」が9割
AIで業務ツールを作るときのボトルネックは、技術力ではなく「何を作るかの言語化」です。
「計算ツールを作って」ではなく、
面積と厚みと比重を入力したら重量をキログラムで出す計算フォームを作って
HTMLとJavaScriptで書いて
スマートフォンでも使えるデザインにして
という粒度で伝えれば、一発で動くコードが出てきます。
私が filmtools.jp のツールを量産できたのは、この「仕様の言語化テンプレート」を作ってからです。これはプログラマーではできないスキルです。現場の人が一番よくわかっているからです。
テンプレートに当てはめてAIに渡せば、ほぼ一発で動くコードが出てきます。
AIで業務ツールを作る4ステップ
ステップは4つです。
- ① 「何を作るか」を紙に書き出す
- ② テンプレートに当てはめてAIに渡す
- ③ 生成されたコードをブラウザで動かす
- ④ 修正・仕上げ→公開
それぞれ詳しくみていきましょう。
Step1:「何を作るか」を紙に書き出す
AIに渡す前にアナログで仕様を整理する
ここが一番時間をかけるべき工程です。
AIは伝えたことは正確にコード化してくれますが、「察してくれる」ことはしません。「月次集計ツールが欲しい」という曖昧な指示では、想定と違うものが出てきます。
私が最初に作った計算ツールのとき、仕様を整理せずにAIに投げたら「なんか違う」を5回以上繰り返しました。AIに「違う。ちゃんと考えて。」って入力したこともあります。そのたびに修正依頼をしていましたが、仕様を先に書き出すようにしてからは1〜2回で完成するようになりました。
整理する4項目
以下の4項目を書き出します。
- 入力: 何を入力するか(数値・テキスト・ファイルなど)
- 処理: 何を計算・変換・抽出するか(計算式や条件)
- 出力: 何を表示・出力するか(数値・CSV・グラフなど)
- 制約: エラー処理・デザイン・使用環境など
記入例(フィルム重量計算ツール):
入力:
・面積(㎡)
・厚み(μm)
・比重(数値。デフォルト値1.4)
処理:
・重量(kg) = 面積 × (厚み ÷ 1,000,000) × 比重 × 1000
・小数点3桁まで表示
出力:
・「重量:〇〇〇 kg」の形式でテキスト表示
制約:
・HTMLとJavaScriptのみ(サーバー不要)
・スマートフォンでも使える
・数値以外が入力されたら「数値を入力してください」とエラー表示
Step2:テンプレートに当てはめてAIに渡す
このテンプレートをそのまま使う
以下のテンプレートをChatGPT・Claude・Geminiのどれかに貼り付けて、Step1で整理した内容を書き換えるだけです。
以下の仕様で業務ツールを作ってください。
【ツールの目的】
(例:フィルムの重量を入力値から計算する)
【使用技術】
HTMLとJavaScriptで書いてください。
サーバー不要でブラウザだけで動くようにしてください。
日本語のコメントをつけてください。
【入力項目】
・面積(㎡):数値入力
・厚み(μm):数値入力
・比重:数値入力(デフォルト値 1.4)
【計算式・処理内容】
重量(kg) = 面積(㎡) × (厚み(μm) ÷ 1,000,000) × 比重 × 1000
結果は小数点第3位まで表示する。
【出力】
「重量:〇〇〇 kg」の形式でテキスト表示する
【エラー処理】
・数値以外が入力されたら「数値を入力してください」と表示する
・空欄のまま計算ボタンを押したら「すべての項目を入力してください」と表示する
【デザイン】
・スマートフォンでも使いやすいシンプルなデザイン
・ボタンは押しやすいサイズにする
このテンプレートで出てきたコードは、ほぼそのままブラウザで動きます。
Pythonで作るケース(データ処理・集計)
計算フォームではなく、CSVを読み込んで集計するようなツールはPythonが向いています。その場合はテンプレートの「使用技術」部分を以下に変えます。
【使用技術】
Pythonを使ってpandasとopenpyxlで書いてください。
Google Colab向けのコードにしてください。
日本語のコメントをつけてください。
pandasとopenpyxlって何?となる方は、まず、「Pythonを使って〇〇したいが、まずどのような技術を使えば良いでしょうか?」とヒアリングしてみると良いです。
Step3:生成されたコードをブラウザで動かす
HTMLファイルの場合:メモ帳に貼ってブラウザで開く
- メモ帳(またはVS Code)を開く
- AIが出してきたHTMLコードを全部貼り付ける
- `計算ツール.html` という名前で保存する
- ファイルをダブルクリックするとブラウザで開く
これだけです。インストールは一切不要です。
Pythonの場合:Google Colabに貼る
Googleアカウントがあれば今すぐ使えます。Pythonのインストールは不要です。
- `colab.research.google.com` にアクセス
- 「新しいノートブック」を作成
- AIが出してきたPythonコードをセルに貼り付ける
- `Ctrl+Enter` で実行
エラーが出たときの対処法
エラーが出たら、エラーメッセージをそのままAIに貼るだけです。
以下のエラーが出ました。修正してください。
【エラーメッセージ】
(エラー文をそのままコピペ)
【現在のコード】
(コードをそのままコピペ)
私の経験では、これで8割のエラーは解消されます。残り2割は「変数名が違う」「ファイルパスが違う」などの設定ミスで、エラーメッセージを読めばわかります。
Step4:修正・仕上げ→公開
見た目を整える
動いたら、次はデザインの調整です。AIに以下のように追加依頼します。
先ほどのコードのデザインを改善してください。
・背景色はライトグレー(#f5f5f5)にする
・ボタンは青色(#0066cc)にする
・フォントサイズを少し大きくする
・入力欄と結果の間に余白を設ける
細かい見た目の調整もAIが一発でやってくれます。CSSの知識は不要です。
公開する
HTMLファイルのツールなら、以下の3つが選択肢です。
| 方法 | 費用 | 手順 |
|---|---|---|
| 共有フォルダに置く | 無料 | ファイルをコピーするだけ |
| GitHub Pages | 無料 | GitHubにpushするだけ |
| Netlify | 無料 | ドラッグ&ドロップするだけ |
私は filmtools.jp をGitHub Pages→独自ドメインで運用しています。URLを送るだけで全員が最新版を使える状態になるので、Excelファイルの配布と違って更新コストがほぼゼロです。
AIで作ったツールの実例:filmtools.jp

作った背景
フィルムパッケージの製造現場では、毎日同じ計算式を手作業でやっていました。担当者ごとにExcelファイルが違い、バージョン管理が崩壊していたのです。
「ミスが出るたびに誰のファイルが正しいか確認する」という無駄な時間が月に4〜5時間ありました。
AIでツールを量産して全部Webアプリにしたのが「Filmtools」です。使っている技術はHTMLとJavaScript(Vue.js)です。
AIに出してもらったもの
- 計算フォームのHTML/JS(ほぼそのまま使用)
- バリデーション(エラー処理)のロジック
- レスポンシブ対応のCSS
- 計算式の日本語コメント
「コードを理解してから作る」ではなく「動かしてから理解する」の順番で作りました。この方針のほうが圧倒的に早いです。
AIツール作成でよくある失敗と対処法
失敗1:「なんか違う」が続く
→ 仕様の言語化が足りていません。Step1の4項目(入力・処理・出力・制約)を埋めてからAIに渡してください。
失敗2:エラーが出て止まる
→ エラーメッセージをそのままAIに貼れば解決します。「エラーが出て動きません」だけでは不十分です。必ずエラー文とコードをセットで渡してください。
失敗3:動いたけどデザインが使いにくい
→ デザインの指示はコードと別で「改善して」と追加依頼するのが一番です。最初から全部指定しようとするとプロンプトが複雑になります。
失敗4:作ったけど誰も使ってくれない
→ 公開方法の問題です。「URLを送るだけで使える」状態を作ることが最優先です。GitHub PagesやNetlifyで公開すれば解決します。
まとめ
- AIで業務ツールを作るボトルネックは技術力ではなく「仕様の言語化」
- 入力・処理・出力・制約の4項目を書き出してからAIに渡すと一発で動くコードが出る
- HTMLツールはメモ帳に貼ってブラウザで開くだけで動く
- エラーはエラーメッセージ+コードをAIに渡せばほぼ解消できる
- 完成したら GitHub Pages か Netlify で無料公開して「URLを送るだけ」の状態にする
AIで業務ツールを作ると、どんな仕上がりになるか見てみたい方は filmtools.jp をご覧ください。フィルムパッケージ向けの計算ツールをAIを活用して量産しました。
「AIがあればコードが書けなくても作れる」という時代になりました。
ただ、「仕様を言語化する力」「エラーを読み解く力」「どんなツールを作れば業務が改善するか考える力」は、AIには代替できません。この力を身につけた人が、これからの職場で一番価値を出せるのです。
製造業や総務部門で「AIを使いこなせる人材」はまだ希少です。今学び始めれば、2〜3年後には確実に差がつきます。今の職場でスキルを積むのも正解ですし、スキルをもって転職するのも正解です。どちらにせよ、行動を始めるなら早いほど有利です。