ChatGPTを入れてみたはいいものの、「で、何を打てばいいの?」で止まっていませんか。
製造業の現場は、使えそうな業務が実は山ほどあります。でも、ネットで検索しても出てくるのは営業や総務向けのプロンプトばかり。「日報」「手順書」「品質報告」といった言葉が出てくる記事が少なくて、結局また明日に後回し…という方も多いのではないでしょうか。
私は中小製造業で生産管理を7年担当し、ChatGPTが出た当初から現場で試してきました。最初はひどいプロンプトを打っては使えない回答が返ってきて、上司に「それ本当に使えるの?」と言われたこともあります。試行錯誤の末、日報作成が15分から3分になり、手順書の初稿がほぼ自動で作れるようになりました。
そこで今回は、実際に製造業の現場で使ってみて「これは使える」と判断したプロンプトを、業務カテゴリ別に30本まとめました。
この記事を読み終えると、今日から自分の業務に貼り付けて使えるプロンプトが手に入ります。「AIを使ってみたい」という段階から、「毎日の業務で実際に使っている」という段階へ変わります。
さらに多くのプロンプト(50本以上)はNote完全版で公開予定です。Xアカウント(@igaramu_blog)をフォローすると公開時に通知が届きます。
この記事で紹介するプロンプトのカテゴリ
この記事のプロンプトが製造業に効く理由
製造業向けのプロンプトというのは、意外と難しいのです。
理由は2つあって、ひとつは「業種の専門用語が多い」こと。4M変更、ポカヨケ、是正処置、水平展開、なぜなぜ分析…。これらの言葉をプロンプトに含めるかどうかで、ChatGPTの回答の精度がかなり変わります。
もうひとつは「現場の文脈を入れないと使えない回答が返ってくる」こと。「生産計画を作って」と打っても、製造業の現場がどういう制約の中で動いているかを伝えないと、机上の空論になりがちです。
良いプロンプトと悪いプロンプトの違い
実際に「日報を書いて」とだけ打ったとき、返ってきたのはこんな回答でした。
「本日の業務内容についてご報告いたします。午前中は通常業務を行い、午後は会議に参加しました。引き続き業務に励んでまいります。」
当然、これは使えません。現場の情報がゼロだから当たり前です。
NG例:情報なしで丸投げする
日報を書いて
OK例:文脈と構造を与える(プロンプト①)
以下の作業メモをもとに、製造現場の日報(A4半ページ程度)を作成してください。
【本日の作業内容】
(ここに箇条書きで作業内容を貼る)
【特記事項】
(トラブル・変更点・引き継ぎ事項など)
報告の対象は直属の上司です。事実を簡潔に伝え、所見は1〜2行にまとめてください。
この違いが、この記事で紹介するすべてのプロンプトの設計思想です。「何を伝えるか」と「どう返してほしいか」をセットで渡すことで、ChatGPTは初めて製造業の文脈で動きます。
この記事で紹介するプロンプトは、「製造業の現場でどういう文脈が必要か」を意識して設計しています。各プロンプトには「なぜこう書くか」と「ここを自分用に変えてください」というポイントも添えているので、コピペしたあとに少し手を入れるだけで使えるようになります。
【基本】日報・作業報告のプロンプト(5本)
日報は、毎日やるからこそ時間を削りたい業務のひとつです。「書くこと自体に意味がある」とわかっていても、忙しい日の日報は本当につらい。ここではそのあたりをChatGPTに任せるためのプロンプトを紹介します。
プロンプト①|日報の下書きをつくる
以下の作業メモをもとに、製造現場の日報(A4半ページ程度)を作成してください。
【本日の作業内容】
(ここに箇条書きで作業内容を貼る)
【特記事項】
(トラブル・変更点・引き継ぎ事項など)
報告の対象は直属の上司です。事実を簡潔に伝え、所見は1〜2行にまとめてください。
なぜこう書くか: 「日報を書いて」だけでは何も情報がないので使えません。作業内容と特記事項を分けることで、ChatGPTが構造を整理しやすくなります。
カスタマイズポイント: 「A4半ページ」の部分は「箇条書き3点」「200字以内」などに変えてOK。「報告の対象」を「現場長」「品質部門」などに変えると文体も変わります。
実際の出力イメージ(入力例をもとにした抜粋):
**【本日の作業報告】**
**作業内容**
・第3ラインの段取り替え(製品Aから製品B):10:00〜11:30完了
・午後ロット品の外観検査(計150個):合格148個、保留2個
**特記事項**
保留品2個について、品質部門へサンプル提出済み。明日午前中に判定予定。段取り替えは標準時間より20分超過(初回治具確認のため)。
**所見**
保留品の傾向を確認のうえ、検査基準書の記載見直しも検討が必要と思われます。
※上記はイメージです。実際の出力は入力する作業内容によって変わります。
プロンプト②|作業内容を上司向けに整理する
以下の作業内容を、非現場の管理職(製造の詳細は知らないが結果を求める上司)向けに、簡潔に整理してください。
・成果・進捗を先に書く
・専門用語はあれば補足説明を入れる
・問題があれば対処状況もセットで伝える
【作業内容】
(ここに作業内容を記入)
なぜこう書くか: 現場目線で書くと「何をどれくらいやったか」になりがちですが、管理職が知りたいのは「何が達成されたか・何が問題で、それはどうなっているか」です。
カスタマイズポイント: 「非現場の管理職」を「技術部門の上司」「品質保証部門の責任者」に変えると、求められる粒度が変わります。
プロンプト③|月次報告書の構成をつくる
製造現場の月次報告書の構成案を作成してください。
報告対象期間:〇〇年〇月
主要トピック:(例:生産量、不良率、改善活動、設備トラブルなど)
文書形式:PowerPoint1枚またはA4縦1ページ
各項目について「タイトル・数値・所見」の3点セットで構成してください。
なぜこう書くか: 月次報告は「構成の設計」だけChatGPTに任せると効率的です。数値は自分で入力するので、まずは骨組みを作ることに集中させます。
カスタマイズポイント: 主要トピックの欄を自社の報告項目に合わせて変えてください。報告書フォーマットが決まっている場合は「既存フォーマットに合わせて」と追加でも可。
プロンプト④|トラブル発生時の経緯報告をつくる
以下の情報をもとに、製造現場でのトラブル発生時の経緯報告書(A4縦1ページ)を作成してください。
【発生日時】
【発生場所・工程】
【何が起きたか(現象)】
【直後に取った処置】
【現状(継続中 / 解消済み)】
読み手は製造部長と品質保証部門です。事実と対処を分けて書き、原因追求の見通しも1行で添えてください。
なぜこう書くか: トラブル時は焦って情報が散らかります。項目を先に埋めることで、ChatGPTが論理的に整理してくれます。「事実と対処を分けて」と指示するのがポイントです。
カスタマイズポイント: 「読み手」を変えると文体と重点が変わります。「客先向け」にする場合はさらに「過度な専門用語は避け、客観的な説明に徹する」を加えてください。
プロンプト⑤|改善活動の結果報告をつくる
以下の改善活動の結果を、社内報告向けにまとめてください。
【改善テーマ】
【改善前の状況(数値・頻度など)】
【実施した内容】
【改善後の状況(数値・効果)】
【今後の課題(あれば)】
QCサークルや小集団活動の発表資料として使えるよう、成果が伝わりやすい構成にしてください。
なぜこう書くか: 改善活動は「何をしたか」の記述に終わりがちです。「改善前→実施→改善後」の流れを明示することで、成果が伝わりやすくなります。
カスタマイズポイント: 「QCサークル」の部分を「月次会議」「品質会議」などに変えると、文体のかしこまり度が変わります。
【実務】品質管理・異常対応のプロンプト(5本)
品質管理の仕事は、「問題が起きてから動く」と後手に回りがちです。ChatGPTを使うことで、「整理する」「型に落とす」という部分の時間を大幅に削れます。ただし、品質判定の最終判断を任せてはいけません。それは人間の仕事です。
プロンプト⑥|不良原因の整理(なぜなぜ分析の補助)
以下の不良事象について、なぜなぜ分析の叩き台を作成してください。
【不良の内容(現象)】
【発生工程】
【発生頻度・件数】
【現時点で判明していること】
「なぜ①〜なぜ⑤」まで展開し、各ステップで複数の仮説候補を挙げてください。真因の断定はせず、「確認すべき項目」として整理してください。
なぜこう書くか: ChatGPTに「真因を出して」と言ってはいけません。現場情報が足りないので必ず外します。「叩き台」「仮説」「確認すべき項目」という言葉に限定することで、現場で使える問いかけになります。
カスタマイズポイント: 「なぜ⑤まで」を「なぜ③まで」に縮めると、短時間の振り返りにも使えます。
プロンプト⑦|再発防止策の案出し
以下の品質問題に対して、再発防止策の候補を提案してください。
【問題の内容】
【推定原因】
【発生した工程・作業】
【既に実施している対策(あれば)】
対策は「4M(人・機械・材料・方法)」の観点から分類して提案してください。
即時対策と恒久対策を分けて書いてください。
最終判断は現場担当者が行うことを前提にしています。
なぜこう書くか: 再発防止策は「思いつき」で終わりがちです。4Mの観点を指定することで、抜け漏れが減ります。「最終判断は現場担当者が行う」と明示することで、ChatGPTが無責任な断定をしにくくなります。
カスタマイズポイント: 製造業以外の業種では「4M」を「5M1E(人・機械・材料・方法・測定・環境)」に変えると分類が深まります。
プロンプト⑧|検査基準書のドラフト作成
以下の条件をもとに、製品検査基準書のドラフトを作成してください。
【製品名・部品名】
【検査項目(外観、寸法、機能など)】
【合否の判断基準(数値・規格)】
【検査頻度・サンプリング方法】
【使用する検査器具】
QC工程表や作業標準書への転記を想定した表形式で作成してください。
なぜこう書くか: 検査基準書は「書き方の型」が決まっているので、ChatGPTが得意な分野です。ただし数値・規格は必ず自分で確認・修正することが前提です。
カスタマイズポイント: 自社の検査基準書フォーマットがある場合は「以下の項目構成で作成してください」と列挙すると、より転記しやすくなります。
プロンプト⑨|是正処置報告書(8D)の補助
以下の情報をもとに、8D(8ステップ是正処置)の報告書ドラフトを作成してください。
【問題の概要】
【チーム構成(役割だけでOK)】
【暫定処置として取った対応】
【根本原因(現時点での推定)】
【恒久対策として検討していること】
D1〜D8のフォーマットで、各項目を埋めてください。
未確定の部分は「(確認中)」と明示してください。
なぜこう書くか: 8Dは形式が決まっているため、ChatGPTでドラフトを作るのに向いています。「未確定部分は(確認中)と明示」という指示が、後で修正しやすくする工夫です。
カスタマイズポイント: D8(再発防止の横展開)の部分は、社内で展開先を指定して「〇〇ラインへの水平展開を含めて」と追加するとより実用的になります。
プロンプト⑩|クレーム対応文の作成
以下の情報をもとに、取引先(客先)へのクレーム対応文を作成してください。
【クレームの内容】
【当社の対処(調査・処置)】
【再発防止の見通し】
【文書形式】:メール / レター
・謝罪の言葉を最初に入れてください
・事実と対策を明確に分けてください
・過度な謝罪にならず、誠実かつ簡潔にまとめてください
・最終確認は担当者が行う前提です
なぜこう書くか: クレーム対応文は「感情的になりすぎる」か「他人事になりすぎる」かのどちらかに偏りがちです。構造を指定することで、バランスの良い文が出やすくなります。
カスタマイズポイント: 「メール」「レター」の使い分けで文体がかなり変わります。社内では「レター(正式文書)」、軽度なクレームは「メール形式」で使い分けると良いです。
【業務効率化】手順書・マニュアルのプロンプト(5本)
手順書の作成は、「わかっているからこそ書けない」という問題があります。ベテランであればあるほど、当たり前の手順を飛ばしてしまいます。ChatGPTに構成を作らせると、「初心者の視点で何が必要か」を補完してくれます。
プロンプト⑪|作業手順書の初稿作成
以下の情報をもとに、製造現場の作業手順書の初稿を作成してください。
【作業名】
【対象者】:(例:入社1年未満の作業員)
【作業の目的】
【必要な工具・材料】
【作業の手順(箇条書きでOK、順番通りに)】
【注意事項・禁止事項】
STEP形式で番号を振り、各STEPには「なぜその手順が必要か」を1行で添えてください。
初心者が1人でも読んで実施できるレベルを目指してください。
なぜこう書くか: 「手順書を書いて」だけでは、対象者のレベルがわからないのでChatGPTも迷います。「入社1年未満」と明示することで、補足説明の粒度が変わります。
カスタマイズポイント: 「なぜその手順が必要か」を省きたい場合は「手順のみ」と指定してOK。逆に「失敗したときの対処法も入れる」と指示するとより実用的になります。
プロンプト⑫|既存手順書の書き直し(わかりやすく)
以下の手順書の文章を、初心者でも読みやすいように書き直してください。
【現在の手順書(テキストで貼り付け)】
書き直しのポイント:
・専門用語には簡単な説明をカッコ書きで追加
・一文を短くする(1文1動作)
・「〜を行う」「〜を実施する」は「〜する」に統一
・手順番号を振る
・注意事項は太字になるよう「【注意】」を先頭につける
なぜこう書くか: 古い手順書は長文・専門用語・受け身表現のかたまりになりがちです。書き直しの具体的なルールを列挙することで、ChatGPTが一貫した編集をしてくれます。
カスタマイズポイント: 現在の手順書のテキストをそのまま貼り付けて使います。Wordや紙ベースの手順書は、一度テキストに書き起こしてから貼り付けると精度が上がります。
プロンプト⑬|新人OJT資料の作成
以下の業務について、新人向けのOJT資料(チェックリスト形式)を作成してください。
【業務名】
【習得期間の目安】
【習得してほしいスキル・知識】
【OJT担当者が確認するポイント】
資料には以下を含めてください:
・習得ステップ(フェーズ分け)
・各ステップで新人が自分でチェックできる確認項目
・OJT担当者が確認するための評価基準(〇×△の3段階)
なぜこう書くか: OJT資料が「何を教えたか」の記録になりがちな問題を防ぎます。「新人が自分でチェックできる」という視点を入れることで、受動的な育成から主体的な習得に変わります。
カスタマイズポイント: 「習得期間の目安」を具体的に書く(例:「入社後3ヶ月」)と、フェーズ分けの粒度が変わります。
プロンプト⑭|設備点検チェックリストの作成
以下の設備について、日常点検チェックリストを作成してください。
【設備名・機種】
【点検対象箇所(知っている範囲でOK)】
【点検頻度】:(例:始業前 / 終業後 / 週次)
【過去に起きたトラブル・異常(あれば)】
チェックリストには以下を含めてください:
・点検項目(動詞で記載)
・判定基準(正常な状態の説明)
・異常時の対処方法(連絡先含む)
・記録欄(日付・担当者・結果)
なぜこう書くか: チェックリストは「項目を書き出すこと」が意外と大変です。設備名と過去トラブルを入れることで、「この設備でよく起きる問題」を意識した項目が提案されます。
カスタマイズポイント: 「過去に起きたトラブル」を複数入力するほど精度が上がります。新設備の場合は「〇〇メーカーの一般的な点検ポイント」と記載してOK。
プロンプト⑮|緊急時対応手順書の作成
以下のトラブルシナリオについて、緊急時対応手順書の初稿を作成してください。
【想定トラブル】:(例:ライン停止、設備故障、品質異常の大量発生)
【発生場所・工程】
【初動で取るべき行動の方向性(わかる範囲で)】
【連絡先・エスカレーション先】
手順書には以下を含めてください:
・発生直後の初動(5分以内)
・状況確認・報告の流れ
・対処の判断分岐(継続 or 停止)
・関係部門への連絡タイミング
文書は「誰でも・パニック状態でも読める」ことを最優先にしてください。
なぜこう書くか: 緊急時手順書は「わかりやすさ」が最優先です。「パニック状態でも読める」という指示を入れることで、簡潔な文体・明確な判断分岐を優先した構成になります。
カスタマイズポイント: トラブルシナリオを複数作成しておき、緊急対応フォルダにまとめておくと実用的です。
【現場課題】生産計画・スケジュール調整のプロンプト(5本)
生産計画はChatGPTが苦手な分野のひとつです。ただし「叩き台づくり」と「言語化・整理」には使えます。実際の工場制約(段取り時間、ライン能力、資材調達)はAIには判断できないので、その点は割り切って使うのが正解です。
プロンプト⑯|生産計画の叩き台をつくる
以下の条件をもとに、週次生産計画の叩き台を作成してください。
【計画期間】
【製品種類と数量】
【1日の稼働時間】
【ライン数・工程数】
【制約条件】:(例:月曜は段取り替えに2時間必要、水曜は外注先納品あり)
実際の生産計画として使うのではなく、「たたき台として社内で確認するための草案」として作成してください。
数値の正確性よりも、計画の流れとバランスを可視化することを優先してください。
なぜこう書くか: ChatGPTに正確な生産計画を求めてはいけません。「叩き台」と明示することで、「精度よりもわかりやすさ」を優先した出力になります。実務では必ず担当者が修正・確認します。
カスタマイズポイント: 制約条件の欄が充実するほど精度が上がります。「〇〇の設備は火・木しか使えない」など、実際の制約を追記してください。
プロンプト⑰|ラインの優先順位を整理する
以下の製品・受注情報をもとに、今週の生産優先順位の考え方を整理してください。
【製品リスト・数量・納期】
【現在の在庫量(あれば)】
【納期遅れが発生した場合の影響度(高・中・低で記載)】
優先順位の考え方を、「納期」「影響度」「生産効率」の3軸で整理して提案してください。
最終判断は生産管理担当者が行います。
なぜこう書くか: 受注が増えると優先順位の判断が複雑になります。3つの軸で整理させることで、「なんとなく急ぎ」から「根拠のある優先順位」に変わります。
カスタマイズポイント: 「影響度」の基準は自社の実情に合わせてください。客先ごとに重要度が違う場合は、それを事前に記載しておくと精度が上がります。
プロンプト⑱|トラブル時のリスケジュール案をつくる
以下の状況をもとに、今週の生産スケジュールの見直し案を作成してください。
【発生したトラブル・遅延内容】
【影響を受ける工程・製品】
【残りの稼働時間・稼働日】
【優先度の高い製品(絶対に納期を守るもの)】
現実的な調整案を2〜3パターン提案してください。
各パターンに「メリット・デメリット」を添えてください。
なぜこう書くか: トラブル時に「どうする?」と聞くだけでは漠然とした回答になります。2〜3パターンで比較させることで、選択肢を持って上司に相談できるようになります。
カスタマイズポイント: 「残りの稼働時間」を正確に入れるほど現実的な案が出ます。土日稼働の可否なども事前に記載してください。
プロンプト⑲|納期調整メールの作成
以下の状況をもとに、取引先への納期調整の連絡文を作成してください。
【当初の納期】
【変更後の納期(または変更幅)】
【理由(説明できる範囲で)】
【代替案・補償内容(あれば)】
・謝罪と事実説明を分けて書く
・言い訳にならないよう、事実と対応を簡潔に書く
・取引継続への配慮を文末に入れる
・メール形式で作成する
なぜこう書くか: 納期遅延の連絡は感情的になりやすく、かつ「謝りすぎる」ことで逆に信頼を損ねる場合があります。構造を指定することで、誠実かつ冷静な文章になります。
カスタマイズポイント: 「代替案・補償内容」がある場合はしっかり記載してください。「優先生産で〇日以内に出荷」などの具体的な約束事をここで書きます。
プロンプト⑳|稼働率・工数の報告文をつくる
以下のデータをもとに、稼働率・工数の月次報告文を作成してください。
【対象期間】
【計画稼働率・実績稼働率】
【計画工数・実績工数】
【差異の主な要因】
・数値の羅列ではなく、「なぜその差が出たか」を2〜3行で解説する
・改善余地があれば1〜2点提案する
・読み手は製造部門の管理職
なぜこう書くか: 稼働率・工数報告は「数字を並べるだけ」になりがちです。「なぜその差が出たか」を入れることで、分析・提案型の報告書に変わります。
カスタマイズポイント: 要因が複数ある場合は箇条書きで「【要因1】〇〇、【要因2】〇〇」と入力してください。
【ノウハウ継承】技術伝承・教育のプロンプト(5本)
製造業でAIが最も役に立つと感じた領域のひとつが、ノウハウ継承です。ベテランが「なんとなくわかる」「長年の勘」で動かしている部分を、言語化する手助けをChatGPTにしてもらう使い方です。
実際に、定年間近のベテランの方にスマートフォンで作業説明を録音させてもらい、その書き起こしをChatGPTで手順書化したことがあります。本人が「文章は苦手で…」と言いながら20分話してくれた内容が、A4で3枚の手順書になりました。
プロンプト㉑|口頭説明を手順書に変換する
以下は、ベテラン作業員が口頭で説明した作業内容の書き起こしです。
これをもとに、誰でも読んで実施できる手順書に変換してください。
【口頭説明(そのまま書き起こし)】
(ここに書き起こし文を貼る)
・重複や言い回しを整理してください
・手順を論理的な順番に並び替えてください
・「コツ」として語られた部分は【ポイント】として残してください
・不明瞭な部分は「(確認が必要)」と明示してください
なぜこう書くか: 口頭説明はそのまま手順書にはなりません。「重複整理」「順番並び替え」「コツの保存」という3つの指示が重要です。特に「コツは消さずに残す」という指示が、暗黙知の保存に効きます。
カスタマイズポイント: 書き起こしは録音→音声認識アプリを使うと効率的です。スマートフォンのメモ機能でも可。読みにくくてOKです。
プロンプト㉒|技術ノウハウを後輩向けにまとめる
以下の技術・ノウハウを、入社2〜3年目の若手向けに説明する文書を作成してください。
【ノウハウの内容(箇条書きでOK)】
【このノウハウが必要な場面】
【よくある失敗・陥りやすいミス】
・専門用語には補足を入れてください
・「なぜそうするか」の理由も入れてください
・「失敗したときにどうなるか」を具体的に入れてください
・読み手は製造経験が浅い若手です
なぜこう書くか: ノウハウを伝えるときに「なぜ」が抜けると、言われたことをやるだけの人材になります。「なぜ」と「失敗したときの結果」を入れることで、理解が深まる文書になります。
カスタマイズポイント: 「よくある失敗」は、自分が過去に経験したことやベテランから聞いた話を入力してください。
プロンプト㉓|失敗事例から教訓を整理する
以下の失敗事例・トラブル事例をもとに、社内共有用の「教訓まとめ」を作成してください。
【事例の概要】
【何が起きたか・なぜ起きたか】
【対処した内容】
【再発防止として決めたこと】
・「教訓」として3〜5点、箇条書きで整理する
・他の工程・他のメンバーにも当てはまる形で一般化する
・説教くさくならず、実務的に使える表現にする
なぜこう書くか: 失敗事例は「その現場だけの話」になりがちです。「他の工程にも当てはまる形で一般化する」という指示が、ナレッジとしての価値を高めます。
カスタマイズポイント: 「説教くさくならず」という指示を入れると、ChatGPTが説教口調を避けてくれます(地味に効きます)。
プロンプト㉔|FAQ形式のナレッジ整理
以下の業務内容について、新人がよく質問することを想定したFAQ形式のナレッジ集を作成してください。
【業務内容の概要】
【よくある質問(わかるものだけでOK)】
【現場で実際に起きた困りごと(あれば)】
・Q(質問)とA(回答)のセットで10〜15項目
・回答は「なぜそうするか」まで含める
・「担当者に確認してください」で終わる項目も可
なぜこう書くか: 新人からの同じ質問が繰り返されると、教える側の負荷が積み重なります。FAQとして整理しておけば、「まずこれを読んで」と案内できます。
カスタマイズポイント: 「よくある質問」をたくさん入力するほど精度が上がります。日々の問い合わせを1週間メモしておくと良い素材が集まります。
プロンプト㉕|技能評価シートの作成
以下の業務について、技能評価シートを作成してください。
【業務名・職種】
【評価対象者】:(例:入社1〜3年目)
【習得してほしいスキル・知識のリスト(わかる範囲でOK)】
・評価項目を「知識」「技能」「態度・判断力」の3カテゴリに分類する
・各項目に「1:未習得 / 2:補助があればできる / 3:一人でできる / 4:教えられる」の4段階評価欄を設ける
・評価者(上司・OJT担当)と本人の自己評価欄を並べる
なぜこう書くか: 技能評価は「なんとなく上手い・下手」で判断されがちです。4段階の明確な定義を入れることで、評価のブレが減ります。特に「4:教えられる」を加えることで、育成意識が芽生えます。
カスタマイズポイント: カテゴリ分類は職種に合わせて変えてください。設備保全なら「点検・保全・修理・改善」などの分類が合う場合があります。
【社内コミュニケーション】メール・会議・連絡のプロンプト(5本)
「文書を書くのが苦手」という現場担当者は多いです。特に、現場の人間が経営層や客先に説明する文書は、専門性と読みやすさのバランスが難しい。ChatGPTはここが得意です。
プロンプト㉖|社内向け業務連絡文の作成
以下の内容を、社内向けの業務連絡文(メールまたは社内掲示用)として作成してください。
【伝えたい内容】
【対象者】:(例:製造部全員、品質管理担当者のみ)
【連絡の緊急度】:(例:今週中に対応してほしい / 参考まで)
・要点を最初に書く
・「いつまでに・誰が・何をするか」を明確にする
・読んで行動できる文章にする
・敬語は社内標準の丁寧さ(過度な謙譲語は不要)
なぜこう書くか: 社内連絡は「読まれない」「読んだけど動かない」という問題が多いです。「いつまでに・誰が・何をするか」を必須にすることで、行動喚起できる文章になります。
カスタマイズポイント: 緊急度を「高・中・低」で明示するだけで、文章の冒頭の書き方が変わります。
プロンプト㉗|取引先へのメール作成
以下の内容を、取引先へのビジネスメールとして作成してください。
【メールの目的】:(例:納期確認、仕様変更の連絡、依頼事項)
【相手との関係】:(例:長年の仕入れ先、初めての客先)
【伝えたい内容の骨子】
【返答してほしいこと・期限】
・丁寧だが冗長にならない文体
・件名も提案してください
・返答を促す一文を最後に入れてください
なぜこう書くか: 「相手との関係」を入れると、文体の丁寧さが調整されます。長年の付き合いの取引先に過度に堅い文章を送るのは不自然なので、ここは意外と重要な情報です。
カスタマイズポイント: 「件名も提案してください」を入れると、メール件名まで一緒に作ってくれます。件名は意外と悩むので、まとめて依頼すると効率的です。
プロンプト㉘|会議議事録の整理
以下の会議メモをもとに、議事録を作成してください。
【会議名・日時】
【参加者(役職だけでOK)】
【会議メモ(箇条書き・乱雑でOK)】
議事録には以下を含めてください:
・決定事項(→ ○○することに決まった)
・アクションアイテム(誰が・何を・いつまでに)
・継続議題・次回確認事項
・情報共有事項(決定ではないが共有すべきこと)
なぜこう書くか: 議事録は「話し合った内容のまとめ」ではなく「決まったこと・やること」の記録である、という認識を持たせるためのプロンプト設計です。「決定事項」と「アクションアイテム」を分けるだけで、議事録の価値が変わります。
カスタマイズポイント: 会議メモは乱雑でも問題ありません。走り書きのメモを貼り付けるだけで十分整理されます。
プロンプト㉙|改善提案を経営層向けにまとめる
以下の改善提案を、経営層(製造の詳細は知らないが数字と効果に関心がある)向けに1ページにまとめてください。
【改善テーマ】
【現状の問題(数値・事実)】
【提案内容】
【期待される効果(数値で表せるなら)】
【必要なコスト・リソース(概算)】
・「なぜ今やるか」を冒頭に入れる
・現場用語は使わず、経営的な言葉(効率化、コスト削減、リスク低減など)に翻訳する
・結論→根拠の順で書く
なぜこう書くか: 現場から経営層への提案は、言語の壁があります。「現場用語を使わず、経営的な言葉に翻訳する」という指示が、その壁を越えるための重要な一手です。
カスタマイズポイント: 「期待される効果」に数値を入れると、提案の説得力が格段に上がります。「月に〇時間の削減」「不良率を〇%改善」など、概算でも入れてください。
プロンプト㉚|社内問い合わせへの回答文作成
以下の社内からの問い合わせに対する回答文を作成してください。
【問い合わせ内容】
【回答内容(正確な情報)】
【補足事項や注意点(あれば)】
・回答は最初に端的に書く
・補足は次のパラグラフに分ける
・「詳細はXXX担当までご連絡ください」という案内で締める
・丁寧だが事務的すぎない文体
なぜこう書くか: 問い合わせ回答は「回答が最後に出てくる」文章になりがちです。結論ファーストにするだけで読み手の負担が減ります。
カスタマイズポイント: 同じ問い合わせが繰り返される場合は、このプロンプトで作った回答文をテンプレートとして保存しておくと効率的です。
プロンプトを使うときの製造業特有の注意点
30本のプロンプトを紹介してきましたが、使う前に確認しておいてほしいことがあります。
1. 社外秘・機密情報は入力しない
製品の設計情報、顧客情報、取引価格、特許に関わる技術情報などは、原則として外部のAIサービスに入力しないことを前提にしてください。会社によってはルールが決まっているはずなので、事前に確認を。
どうしても入力が必要な場合は、具体的な数値や固有名詞を「〇〇」「△△」などに置き換えてから使うのが一番手軽な対策です。
2. ChatGPTの回答は必ず確認してから使う
品質判定・安全に関わる判断・顧客への公式回答をそのまま使うのは危険です。特に「なぜなぜ分析の真因」や「是正処置」は、ChatGPTが「もっともらしい答え」を出してくることがありますが、現場の状況を知らないので正確でないことがあります。
「叩き台」として使い、最終確認は必ず担当者が行うという前提を崩さないでください。
3. プロンプトは一度で完成しなくてよい
うまく回答が返ってこなかったとき、プロンプトを全部書き直す必要はありません。「もっと短くして」「箇条書きにして」「〇〇の部分を詳しく」と追加で指示すると改善されます。会話形式で使うのが正解です。
AIをゼロから始める方法・社内でどう使い始めるかについては、製造業でAI業務改善を始める方法|現場のExcel地獄を脱出した実体験も参考にしてください。
【NGプロンプト3選】製造業で使ってはいけない入力例と理由
使えるプロンプトの紹介が30本続きましたが、最後に「やってはいけないプロンプト」も3つ挙げておきます。製造業特有のリスクがあるので、念のため確認してください。
NG①|品質合否の最終判定を任せる
NGプロンプト例:
この製品は合格品ですか?不合格品ですか?
寸法:幅23.5mm、高さ10.1mm、公差±0.2mm
なぜNGか: 数値上は合格に見えても、実際の品質判定には「測定誤差」「サンプリング方法」「前後の工程の状態」など多くの文脈が必要です。ChatGPTはこれらを知らないまま「合格です」と答えることがあります。最終判定は必ず担当者が行うこと。
代替アプローチ: 「以下の条件で合否基準を整理してください」として判定基準の文書化に使うのはOK。
NG②|図面・設計データの数値をそのまま貼り付ける
NGプロンプト例:
下記図面の寸法情報をもとに加工指示書を作ってください。
(部品番号、公差値、材質グレードをそのまま記載)
なぜNGか: 図面データには機密情報・特許情報が含まれている場合があります。外部AIサービスに送信することで情報漏洩リスクが発生します。
代替アプローチ: 実際の数値の代わりに「〇〇mm」「△△公差」と置き換えてプロンプトを作り、出力された文書の型に自分で数値を入力する。
NG③|安全基準の適否をAIに判断させる
NGプロンプト例:
この作業は安全ですか?
作業内容:高所での溶接作業(高さ3m、ハーネスなし)
なぜNGか: 安全基準への適否判断は法令・社内規程・現場の実態に基づく判断が必要です。ChatGPTが「問題ありません」と答えても、それは法的・実務的な責任を持った判断ではありません。安全に関わる判定は必ず担当者・安全管理者が行うこと。
代替アプローチ: 「この作業に必要な安全装備・法令基準の一覧を作成してください」として、確認項目の洗い出しに使うのはOK。
まとめ
今回紹介した30本のプロンプトを、カテゴリ別にまとめます。
| カテゴリ | プロンプト数 | 主な用途 | |—|—|—| | 日報・作業報告 | 5本 | 日報、月次報告、トラブル経緯報告 | | 品質管理・異常対応 | 5本 | なぜなぜ分析、是正処置、クレーム対応 | | 手順書・マニュアル | 5本 | 作業手順書、OJT資料、緊急時手順 | | 生産計画・スケジュール | 5本 | 計画叩き台、優先順位、リスケ、納期調整 | | ノウハウ・技術継承 | 5本 | 口頭説明の文書化、FAQ、技能評価 | | メール・会議・連絡 | 5本 | 社内連絡、取引先メール、議事録、提案書 |最初から全部使う必要はありません。「今日の日報が面倒だな」と思ったときに、まずプロンプト①を試してみてください。うまくいったら次のプロンプトへ、という順番で使い慣れていくのが一番続きます。
製造業の現場でAIを使うことへのハードルは、確実に下がっています。「まず1つ試してみる」から始められる人が、半年後に大きく変わります。
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プロンプトを覚えたら、次は「業務に組み込む」フェーズです。
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