
総務の業務自動化って何をしたらいいんだろう?
「何から手をつければいいかわからない」
「RPAって聞くけど、うちの規模で使えるのかな…」
そんな悩みに答えます。
総務の自動化を調べると、出てくる情報のほとんどがRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の話です。
ただ、RPAは導入コストも学習コストも高く、中小企業の1〜5人体制の総務部にとっては「大企業向け」に見えることが多い。
実際、わたしの会社でも2020年に導入しましたが、正直「無駄では無いが、思ったほどの効果は無かった。」が本音です。
理由は「業務にフィットしているかを考えず、なんでもRPA化した結果メンテナンスが大変になったから。」です。
AIが発展した今では、Excel VBAやChatGPT、Pythonで解決できることが増えました。コストもほとんどかかりませんし。
この記事では、ツールの種類と向いている業務を整理したうえで、総務が実際に自動化できる業務を15個、具体的に解説します。
読み終えたときに「どれかやってみよう」と思える状態を目指しました。ぜひご覧ください。
総務で自動化できる業務はどれか(判断の考え方)
どの業務から手をつけるか迷うのが最初の壁ではないでしょうか。
自動化に向く業務と向かない業務があります。
まず、この判断基準を押さえておくと、後で迷いません。
自動化に向く業務の3条件
自動化しやすい業務には、共通した特徴が3つあります。
- 繰り返しが多い:毎日・毎月・毎週と同じ手順で行う業務
- データがある:ExcelやCSV、システムのデータが元になっている業務
- ルールが明確:「○○だったら△△する」と条件が決まっている業務
逆に、自動化に向かないのは「判断が必要な業務」や「相手によって対応が変わる業務」「データを集めることが必要」などです。
たとえばクレーム対応や採用面接のフィードバックは、自動化よりも人の判断が価値を持ちます。
「繰り返し・データ・ルール」の3条件が揃っているかを確認するだけで、自動化の優先順位はかなり絞れるのです。
自動化すべき業務の優先順位の決め方
さらに、3条件を満たす業務が複数あるときは、
次の2軸で優先順位を決めるのが一番得策です。
- 頻度 × 時間:効果が大きい方。毎日の業務を自動化する方が良い
- ミスのリスク:ミスが問題になりやすい業務は優先度が高い
わたしの場合、最初に自動化したのは「勤怠データのExcelへの転記」でした。
毎月末に1時間以上かかっていた上に、入力ミスが月に1〜2回は発生していたので、チェック作業も工夫を凝らしていました。これをVBAで自動化したところ、作業時間が10分以下になりました。
「頻度が高い × ミスが出やすい」から手をつけると、効果を感じやすく、次の自動化に踏み出しやすくなります。
ミスのチェックはIT化の得意なところですね。
【ツール別】総務が使える自動化ツールと向いている業務

競合記事のほとんどはRPA一択で話が進みますが、実務ではツールの使い分けが重要です。
業務とツールの組み合わせを、一番時間をかけて考えてください。
コスト・スキル・業務の複雑さによって、最適なツールは変わります。
| ツール | コスト | 必要スキル | 向いている業務 |
|---|---|---|---|
| Excel・VBA | 0円 | Excel操作ができれば可 | 集計・転記・レポート作成 |
| ChatGPT・AI | 月20〜3,000円程度 | 操作不要・プロンプト入力のみ | 文章作成・情報整理・回答生成 |
| Python | 0円 | 基礎学習が必要(1〜2週間) | 複数ファイル一括処理・スクレイピング |
| RPA | 月数万〜数十万円 | ツール操作の学習が必要 | 複数システムをまたぐ操作・Web操作 |
| ノーコードツール | 無料〜月数千円 | ほぼ不要 | 通知・フォーム連携・簡易ワークフロー |
Excel・VBA(コストゼロ・今日から始められる)
総務部に一番なじみがあるのがExcelです。
実は、ExcelのVBA(マクロ)機能を使うだけで、かなりの業務を自動化できます。
向いている業務は「集計・転記・レポート作成」です。複
数のシートやファイルからデータを集めて一つの表にまとめる、毎月同じフォーマットで報告書を作る、といった業務はVBAが最も効果を発揮します。
コストはゼロ。すでに使っているExcelで完結するため、会社への説明も不要です。「自動化に費用がかかる」という誤解がありますが、VBAなら一切かかりません。
ほんと、いろんな業務に使えるので、Excelは具体的な自動化事例を別記事にまとめました。→ 【コピペOK】総務のExcel自動化7選|総務歴10年が実際に使っているVBA・関数まとめ
ChatGPT・AI(定型文・データ整理・情報収集)
「自動化=コードを書く」と思っている人に知ってほしいのが、ChatGPTをはじめとするAIツールです。コードは一切不要で、文章を入力するだけで使えます。
わたしが実際に使って驚いたのは、定型メールの作成です。「〇〇の件で社内への告知文を書いて」と入力するだけで、3〜4秒で下書きが出てくる。以前は15〜20分かけていた作業が、確認・修正込みで5分以内に終わるようになりました。
案内状、メール文、社内文書などを作成するときに、ネットで「テンプレート」を探していませんか?
ChatGPTならすぐです。
定型分なら自社情報を入れなくても良いのでセキュリテイも大丈夫です。
向いている業務は「文章の下書き・FAQ回答・議事録の整形・情報の要約」などです。判断が必要な部分は人が行い、定型部分だけをAIに任せるのがAI時代の上手な使い方です。
ChatGPTの具体的なプロントはこちらの記事で紹介しています。→ 総務のChatGPT活用15選|総務歴10年が解説するコピペOKプロンプト集
Python(繰り返し処理・複数ファイル一括操作)
Excelが「1ファイル内の処理」に強いのに対して、Pythonは「複数ファイルをまたぐ処理」に向いています。たとえば、部署ごとに分かれた月次レポート30ファイルを一つに集約する、フォルダ内のファイル名を一括で変更する、といった業務です。
Pythonはコードが読みやすく、非エンジニアでも基礎を習得しやすい言語です。
正直、習得には1〜2週間の学習時間が必要です(ChatGPTを使って)。ただ、一度覚えると自動化の幅が格段に広がります。
わたしはPythonを習得してから、ファイルの分割や集計作業など毎月3〜4時間かけていた集計作業を完全に自動化できました。学んでよかったなと思います。
具体的な方法、コードはこちらで紹介しています。→ 総務でPythonを使うと何ができるか【業務別の自動化事例7選・コード付き】
RPA(複数システムをまたぐ操作・ブラウザ自動化)
RPAが本領を発揮するのは、「複数のシステムを行き来する操作」です。
たとえば「勤怠システムからデータを取得して給与システムに入力する」「複数のWebサイトを定期的に確認して結果をExcelにまとめる」といった業務です。
ただ、現実を言えば、中小規模の総務部で「RPAでないと解決できない業務」はそれほど多くありません。月数万〜数十万円の費用がかかる上に、ツールの学習・保守も必要です。
わたし自身もRPAの導入してますが、結局PythonやExcelで解決できることがほとんどのため今では不要です。正直放置されてます。
「RPAが必要かどうか」は、他のツールで対応できないことを確認してから判断することをおすすめします。
ノーコードツール(Power Automate・Zapier等)
MicrosoftのPower AutomateやZapierなどのノーコードツールは、プログラミング不要でアプリ間の連携や自動通知を設定できます。
「フォームに回答があったらメールで通知する」「毎週月曜日にSlackでリマインダーを送る」といった、異なるサービスをつなぐ業務に向いています。
Office 365を使っている会社であればPower Automateは追加費用なしで使えるケースも多く、コストパフォーマンスが高いです。
が、
「ノーコード」は良さそうに見えて意外と煩雑です。怒られそうですが、凝ったことをしようとすると難しいです。プログラミングできる人からすると逆に難しくてキー!ってなります。個人的にノーコード操作を覚えるならプログラミングを覚えた方が良いと考えています。
Pythonの始め方をこちらの記事で解説しています。→ 総務初心者がPythonを始める方法|来週月曜から使えるようになる手順
総務が実際に自動化している業務15選
それではここからは、総務が自動化できる業務を15個、具体的に解説します。それぞれに「向いているツール」も添えています。
①勤怠データの集計・確認
向いているツール:Excel VBA / Python
各部署から集まる勤怠データを月末にまとめる作業は、総務の定番業務です。部署ごとのExcelファイルを一つに集約し、集計表を自動生成するVBAは、比較的シンプルに作れます。
ファイルが30部署以上あるなら、Pythonで一括処理する方が安定します。
②定型メールの自動送信
向いているツール:Excel VBA / Python / Power Automate
「毎月25日に全社員へ給与明細の確認依頼を送る」「新入社員研修の案内を一斉送信する」といった定型メールは、自動化の定番です。
Excelのリストと組み合わせてVBAで差し込み送信する方法は、総務でよく使われています。宛先・件名・本文を自動生成して送信まで行えます。
具体的な方法はこちら→ 定型メールを自動化する方法|Gmail・Outlook別に総務担当がステップで解説
③月次レポートの自動作成
向いているツール:Excel VBA / Python
各部署の実績データを集めて経営報告用のレポートを作る業務は、月に一度の大仕事になりがちです。
データの収集・集計・グラフ作成までをマクロで自動化すれば、2〜3時間かかっていた作業を30分以下にできます。
④備品・消耗品の在庫管理
向いているツール:Excel VBA / Python
コピー用紙・文具・トイレットペーパーなどの在庫が一定数を下回ったら自動でアラートを出す仕組みは、Excel VBAで十分に作れます。手動でチェックしていた「在庫切れで困った」を防げます。
⑤ファイルの自動整理・命名変更
向いているツール:Python
フォルダに集まるファイルを、
- 日付や部署名でフォルダ振り分け
- 中身を判断してファイル分割
- 集計して結果ファイルを新規作成
こういった処理はPythonが得意です。
命名ルールに沿ったリネームも一括でできます。
アイデア、方法はこちら→ フォルダ整理を自動化する方法4選|ルール設計から設定手順まで総務担当が解説
⑥社内問い合わせのFAQ自動回答
向いているツール:ChatGPT / ノーコードチャットボット
「有給の申請方法は?」「健康診断はいつ?」といった繰り返しの社内問い合わせは、総務担当者の時間を大量に消費します。
よくある質問をまとめたFAQページやチャットボットで自動対応する仕組みを作ると、問い合わせ対応時間を大幅に削減できます。
→ 社内問い合わせを効率化する方法6選|総務歴10年が予算ゼロから始めた手順
⑦契約書・更新期限のアラート
向いているツール:Excel VBA / Power Automate
リース・保守契約・賃貸借契約など、更新期限を見落とすと会社に損失が出る書類の管理は、自動化の効果が特に大きい業務です。
Excelで契約一覧を管理し、期限の3ヶ月前・1ヶ月前に自動でアラートメールを送る仕組みはVBAで作れます。一度仕組みを作ると、ほぼ手放しで管理できるようになります。
⑧採用応募者データの整理
向いているツール:Excel VBA / Python
採用管理システムからダウンロードしたCSVデータを、選考状況ごとに整理する処理は繰り返し発生します。VBAやPythonで自動分類・集計すれば、採用ピーク時の手作業を減らせます。
⑨経費精算データの集計・確認
向いているツール:Excel VBA / Python
各部署から提出される経費精算書のチェックと集計は、月末に集中する重い作業です。フォーマットを統一したうえでVBAによる自動集計を設定すれば、チェック漏れも減ります。
⑩新入社員オンボーディングのチェックリスト管理
向いているツール:Power Automate / ノーコードツール
入社手続きには、書類提出・備品貸与・システム登録・研修案内など多くのステップがあります。これをチェックリスト形式にして、完了したら次のタスクが自動通知される仕組みを作ると、対応漏れがなくなります。
⑪議事録の自動作成・配布
向いているツール:ChatGPT / AI文字起こしツール
会議の音声や動画から文字起こしをするAIツールは近年急速に普及しています。文字起こしデータをChatGPTに貼り付けて「議事録に整形して」と指示するだけで、ドラフトが数秒で完成します。
以前は会議後に30〜40分かかっていた議事録作業が、確認・修正込みで10分以内に終わることも珍しくありません。
⑫定期報告書の収集・リマインド
向いているツール:Power Automate / Python
各部署への月報・週報の提出リマインドを手動で送っている場合、これは自動化できます。期日の前日・当日に提出していない部署へ自動リマインドを送る仕組みはPower Automateで設定できます。
⑬社員情報変更の更新処理
向いているツール:Excel VBA / RPA
異動・昇格・住所変更などの社員情報変更は、複数のシステムに同じ内容を入力する必要があることが多いです。一つのシステムからの変更をトリガーに他システムへも反映する仕組みはRPAが向いていますが、更新頻度が低ければ手順書とVBAで対応するのが現実的です。
⑭会議室・設備の予約管理
向いているツール:Power Automate / ノーコードツール / Googleカレンダー連携
会議室予約をスプレッドシートで管理している場合、Googleフォームと連携して自動でカレンダー登録・確認メール送信ができます。紙台帳や手作業での管理は、ダブルブッキングリスクもあるため早めに自動化するのがおすすめです。
⑮社内通知・お知らせの一斉配信
向いているツール:Power Automate / Python / Excel VBA
健康診断の案内・防災訓練の告知・規程改訂のお知らせなど、全社員に定期的に送る通知は自動化できます。送信先リストと本文テンプレートを整備し、日時を指定して自動送信する仕組みを一度作っておくと、繰り返し活用できます。
総務の自動化を進める手順(非エンジニア向け)
「やりたいことはわかった。でも、実際にどう始めればいいのか」という疑問が残っているのではないでしょうか。
自動化を始めるには3ステップあります。
Step1:今の業務を棚卸しする
まず、自分が日々行っている業務をすべてリストアップします。ポイントは「繰り返し・データ・ルール」の3条件で振り返ることです。
業務を書き出したら、それぞれに以下を記録します。
- 実施頻度(毎日・毎週・毎月)
- 1回にかかる時間
- ミスが発生したことがあるか
- データがExcelやシステムにあるか
Step2:ツールを選ぶ(判断基準)
業務が決まったら、前述のツール表を見ながら選びます。判断に迷ったときの基本方針は以下です。
- Excelで完結する業務 → VBAから始める
- 文章・文書に関係する業務 → ChatGPTを試す
- 複数ファイル・フォルダをまたぐ → Pythonを学ぶ
- 複数システムを行き来する → Power AutomateまたはRPAを検討
「最初からRPA」は選ばないことをおすすめします。コストと学習コストの割に、Excelで解決できるケースが多いためです。
Step3:小さく試して効果を測る
最初から完璧な自動化を目指す必要はありません。まず1業務、最も頻度が高いものを選んで試すことが一番得策です。
1〜2週間試したら「何分短縮できたか」「ミスが減ったか」を確認します。効果が出ていれば継続・拡大する。効果が薄ければ別の業務か別のツールを選ぶ。この繰り返しが、着実に自動化を広げていく方法です。
総務DX全体の進め方については、以下の記事も参考にしてください。
→ 総務DX、何から始める?今日できる最初の一手と失敗しない進め方
自動化でよくある失敗と対策
自動化に取り組んだ人が陥りやすい失敗を、実際に見てきた経験から3つ紹介します。
ツールを選ぶのに時間をかけすぎる
「RPAがいいのか、Pythonがいいのか…」と比較検討し続けて、結局何も始めていないケースはよく見ます。
対策はシンプルです。「Excelで始める」と決めて動くこと。VBAで解決できる範囲を試し、限界を感じてから次のツールを検討する、という順番が結果的に一番早いのです。
自動化できない業務に手をつける
「この業務も自動化したい」と意気込んで、判断が必要な業務や例外が多い業務に手をつけてしまうことがあります。
自動化ツールは「ルールが明確な業務」にしか対応できません。例外処理が多い業務を無理に自動化しようとすると、ツールの作り込みに時間がかかりすぎて効果がでません。「繰り返し・データ・ルール」の3条件を再確認することが対策です。
担当者が変わると誰も使えなくなる
自動化の落とし穴として、作った本人しか使えない・直せない状態になることがあります。
対策は「コメントを書く」「手順書を残す」の2点だけです。VBAコードや設定ファイルに「何をしているか」を日本語でコメントしておけば、引き継ぎ時のトラブルを大幅に減らせます。自動化を属人化させないための仕組み作りも、総務の仕事の一部なのです。
まとめ:総務歴10年が考える「自動化の正しい順番」
自動化の順番をまとめます。
- 業務を棚卸しして「繰り返し・データ・ルール」が揃う業務を探す
- 頻度 × 時間が大きい業務から優先順位をつける
- まずExcel VBAかChatGPTで試す(コストゼロ・ハードルが低い)
- 効果を確認しながら、Pythonやノーコードツールへ展開する
- RPAは「他の方法では解決できない」と判断してから検討する
自動化=RPAという思い込みを外すだけで、今日から試せる選択肢がぐっと広がります。最初の一歩はExcel VBAで十分です。
自動化を進めるうえで、業務の棚卸しシートとツール選定チェックシートをNoteにまとめています。どの業務から手をつけるか迷っている方・上司への説明資料が必要な方に向けています。(※Note記事公開後にリンクを追加)