「また同じ計算をしている……」——Excelや電卓を前に、そう独り言をつぶやいたことはないでしょうか。
「業務改善のためにツールを自作したい。でも自分はエンジニアじゃないし、無理だろう」——そう思って諦めていませんか。同じ計算、同じ入力の繰り返し。「これ、仕組み化できたら楽なのに」と思いつつも、自分でツールを作れるスキルなんて最初から持っていない。だから結局、手作業を続けるしかない——そんな状態に心当たりがある方は少なくないはずです。
私自身、総務・経理・生産管理といった現場業務を経験してきた、いわゆる非エンジニアです。この記事では、そんな私が実際に製造現場で使えるWebツールを自作できるようになるまでに、どんな手段を使い、何を優先し、どう技術を身につけていったのかを実体験ベースで具体的に解説します。読み終える頃には、「自分にもできるかもしれない」と、何から始めればいいかのイメージが持てるはずです。
「業務改善のためにツールを自作する」は非エンジニアにもできるのか
結論から言うと、できます。少なくとも私の場合は、総務・経理・生産管理という非エンジニアの現場業務を経験した状態から、実際に製造現場で使えるWebツール(filmtools.jp)を自作できるところまで進むことができました。
世の中の「ツールを自作する方法」の情報の多くは、エンジニアやプログラミングスクールが発信していて、暗黙に「エンジニア転職」を前提にしています。私はエンジニアに転職したいわけではなく、今の仕事を楽にしたいだけでした。そういう立場の人向けに、「何から手を動かせばいいか」を具体的に整理したのがこの記事です。
現場で感じた「手計算・繰り返し作業」の非効率がきっかけだった
自作にたどり着いた背景には、現場で感じていた小さな非効率の積み重ねがあります。
総務・経理・生産管理の現場では、毎回同じ計算をしたり、Excelや電卓で同じ処理を繰り返したりする業務が数多くありました。「これ、さっきもやったな」「また同じ計算をしている」——作業をするたびに、頭の中でそんな独り言がよぎるんですよね。
一つひとつは小さな作業です。でも、それを解決するツールを自分で作れるスキルは、最初から持っていたわけではありません。「誰かが仕組みを作ってくれたら楽になるのに」と思いながらも、実際には手を動かして繰り返すしかない状態が続いていました。
自作にたどり着くまでに何を優先したか
ツールを自作できるようになるまでに、私が優先したのは「何を学ぶか」ではありませんでした。次の2点を先に決めています。
1. 技術を覚えることより「何をなくすか」を先に決めた
いきなりプログラミング言語の勉強から入ったわけではありません。実際の業務上の問題をきっかけに、その問題を解決する手段として、技術に触れていきました。
大事なのは順番です。
- 「この技術を覚えよう」ではなく「この面倒な作業をどう仕組みに変えるか」を先に決める
- そのうえで、それに必要な技術を選ぶ
という順番で進めました。最初からプログラマーとして仕事をするつもりで学んだわけではなく、あくまで目の前の業務課題を解決する手段として身につけていった形です。
2. 必要な部分から少しずつ自作ツールに落とし込んだ
もう一つ意識したのは、最初から完璧なシステムを目指さなかったことです。
業務の一部分、それも「これは仕組み化できそうだ」と感じた小さな範囲から、少しずつ自作ツールに落とし込んでいきました。全部を一気に置き換えようとすると、何から手をつけていいか分からなくなってしまいます。一つの計算、一つの入力作業から着手する方が、非エンジニアにとっては現実的でした。
実際に触れた技術の選び方
技術を選ぶ基準も、「流行っているから」ではなく「目の前の作業を解決できるか」でした。実際に触れたのは、次のような選択肢です。
- Excelマクロ: 普段の業務で使っている環境の延長線上で、まず小さな自動化を試すのに向いている
- Python: 集計・計算処理を自作ツールとして組み立てるのに使った
- JavaScript / Vue: ブラウザで使えるWebツールとして、現場の誰でも操作できる形にするために使った
どれか一つを極めてから次に進んだわけではなく、「この作業を解決するにはどれが向いているか」を都度選びながら、必要な部分だけを身につけていきました。
実際に自作してわかったこと・学び
「プログラミングを覚える」を目的にすると迷子になる
学び進める中で気づいたのは、最初からプログラミングを勉強することそのものを目的にすると、何を作ればいいのか分からなくなるということです。
私の場合は「業務上の困りごと」が先にあり、それを解決するために必要な技術を後から覚えるという順番だったから、学びやすかったのだと思います。技術を覚えることがゴールになっていたら、途中で「これは何のためにやっているんだっけ」と手が止まり、遠回りしていたはずです。
実際に製造現場で使えるツールになった
こうして少しずつ技術を身につけていった結果、実際に製造現場で使えるWebツール(filmtools.jp)を自作できるようになりました。業務上の計算をツール化したことで、手計算による計算ミスや、それに伴う手戻りを防ぐことにもつながっています。
自分が作ったものが、実際の業務の中でミスを減らす役に立っている——これは、プログラミングを勉強すること自体が目的だったら得られなかった実感だと思います。
非エンジニアが業務改善ツールを自作するためのステップ
ここまでの経験を、これから自作に挑戦したい方向けに整理すると、次のような順番になります。
- 自分の業務の中で「毎回同じことをしている」作業を1つ書き出す
- その作業をなくす・減らすには何が必要かを考える(システム全体ではなく、その1作業だけでいい)
- 必要な技術(Excelマクロ・Python・JavaScriptなど)を、その作業を解決する手段として選ぶ
- 業務全体ではなく、その一部分だけをまず自作してみる
- まずは自分だけで使ってみて、ミスや手戻りが減ったかを確認する
- 効果を実感できたら、そこで初めて周囲に共有する
いきなり「みんなが使えるシステム」を目指す必要はありません。まず自分の作業が楽になるかどうかで判断し、効果が確認できてから周囲に広げる、という順番にすると非エンジニアでも始めやすくなります。「技術を覚えてから何を作るか考える」のではなく、「作りたいものが先にあって、技術は後からついてくる」という順番を意識するだけで、始めやすさはかなり変わってきます。
自作したツールはこちら
こうして自作したのが、製造現場向けのWebツール「filmtools.jp」です。専門計算そのものの使い方や作り方の詳細は、filmtools.jp側で紹介しています。この記事では「どう考えて作るところまでたどり着いたか」を中心にお伝えしました。
次に読むべき記事
「非エンジニアでも、こういう考え方で始めればいいんだ」と感じた方は、次の記事も参考にしてみてください。技術選定や具体的な学習ステップを、もう少し掘り下げて解説しています。
- プログラミング未経験の私が勉強を始めたきっかけ|「業務改善のため」でした
- 製造業のためのPython完全マスター【初級・中級・上級】
- 【製造業Python】Streamlitで業務アプリを作る方法|入力フォーム・CSV集計コード付き
- 製造業でWebアプリを選ぶ方法|既製ツール・ノーコード・Python自作の使い分けを現場が解説
まとめ
業務改善ツールの自作は、エンジニアを目指す人だけの話ではありません。総務・経理・生産管理という非エンジニアの現場業務を経験した私自身、「技術を覚えること」ではなく「目の前の面倒な作業をどう仕組みに変えるか」を先に決めることで、実際に製造現場で使えるWebツールを自作できるところまで進むことができました。「自分には無理そう」と感じているなら、まずは自分の業務の中にある小さな繰り返し作業を1つ書き出すところから始めてみるのがおすすめです。