「また同じ入力を手でやってる…」——毎月同じ集計、同じ単位換算、同じ繰り返し作業をしながら、そう思ったことはないでしょうか。
「プログラミングを勉強した方がいいのはわかっている。でも、何のために学ぶのかが決まらなくて、結局始められない」——そう感じている社会人は少なくないはずです。
書店に行けば「未経験からエンジニアへ」という本が並び、ネットで検索してもスクールの広告ばかり。エンジニア転職を目指す人向けの情報は溢れているのに、「転職はしないけど、今の仕事を楽にしたい」という動機で学び始めていいのか、判断材料が見当たらないんですよね。
私自身、総務や経理、生産管理といった現場業務を経験してきた、いわゆる非エンジニアです。この記事では、そんな私が「業務改善のため」という動機でプログラミングを学び始めたきっかけと、その動機がなぜ学習を続けられた理由になったのかを、実体験ベースで解説します。読み終える頃には、「自分も今の仕事のまま学び始めていいんだ」と思えるはずです。
プログラミングを学ぶ理由が見つからず、始められなかった
プログラミングを学ぶ理由といえば、「エンジニアに転職する」か「趣味で作りたいものがある」かの二択で語られがちです。
正直、私もどちらにも当てはまりませんでした。エンジニアに転職したいわけではないし、趣味で何かを作りたいという強い欲求があったわけでもない。だから「学んだ方がいいのは分かるけど、自分が学ぶ理由が見つからない」という状態が長く続いていました。
「エンジニアになる」以外の目的が思いつかなかった
世の中の学習ロードマップ記事の多くは、「エンジニア転職」を前提に書かれています。言語の選び方も、学習期間の目安も、その先にキャリアチェンジがある人向けの内容がほとんどなんですね。
総務や生産管理の現場で働きながら、「転職はしないけど学びたい」という立場の人向けの情報は、探してもなかなか見つかりませんでした。
現場で感じた「非効率」がきっかけだった
学ぶ理由が見つかったのは、目の前の業務がきっかけでした。
手計算・繰り返し作業で感じていた無駄
総務・経理・生産管理といった現場業務を経験する中で、手計算や単位換算、同じ入力を毎回繰り返すような作業に何度も遭遇しました。「これ、さっきもやったな」「また同じ計算をしている」——作業をするたびに、頭の中でそんな独り言がよぎるんですよね。
一つひとつは小さな作業です。でも、繰り返されるたびに「この仕組み、誰かが直せばもっと楽になるのに」という違和感が募っていきました。誰かに相談しても「まあ、昔からこうだから」で片づけられることも多く、自分でどうにかするしかないのかもしれない、と感じ始めていました。
経営者は現場の悩みに気づかない
もう一つ大きかったのが、「この非効率に気づいているのは現場だけだ」という感覚でした。経営者や管理職からは「業務効率化を進めよう」という号令はかかります。でも、実際に手を動かして繰り返し作業をしているのは現場の人間で、その細かい面倒くささまでは、上には伝わっていないんですよね。
だったら、自分でなんとかするしかない——そう思ったのが、プログラミングに興味を持った最初のきっかけでした。
「業務改善の手段」として学び始めた
ここで大事なのは、「プログラミングを覚えること」自体が目的ではなかったという点です。あくまで、目の前の非効率を解決するための手段として学び始めました。
PythonやJavaScriptを選んだ理由
学習を始めるにあたっては、業務改善に必要な技術という観点で、PythonやJavaScriptといった言語に触れていきました。言語そのものへのこだわりよりも、「これで何ができるようになるか」を基準に選んだ形です。
最初から大きなシステムを目指さなかった
いきなり業務全体を置き換えるような大規模なシステムを目指したわけではありません。まずは実際の業務に関係する、小さなツールを作れるようになることを目標にしました。目の前の面倒な作業を一つ減らせれば、それで十分だという感覚です。
学び始めてわかったこと
「技術を覚える」ことより「何をなくすか」が先
学び進めるうちに気づいたのは、「業務改善=システム開発」ではないということです。どの技術を使うかよりも、「どの作業をなくす・減らすのか」を先に決める方が重要でした。自分自身、つい「作ること」に意識が向きがちになりますが、実際の価値は完成したシステムそのものではなく、それによって現場のミスや手戻りを減らせるかどうかにあります。
モチベーションが続いた理由
「プログラミングを覚える」という目的だけでは、正直、学習のモチベーションを維持しにくいと感じています。勉強のための勉強になると、途中で「なんでこれをやっているんだっけ」と手が止まってしまうこともあるからです。
私の場合は、「この面倒な仕事を何とかしたい」という具体的な問題が先にあったことで、何を学ぶべきかの理由がはっきりしていました。目的が業務改善という具体的な形をしていたから、学習が途中で止まらずに済んだのだと思います。
結果として、プログラミング未経験の状態から学習を始め、最終的にはWebアプリ開発や、製造現場向けのWebツールを自作できるところまで進むことができました。
同じように迷っている人へ
「プログラミングを学ぶ理由が見つからない」と感じているなら、その理由は転職やキャリアチェンジである必要はありません。今の仕事の中にある小さな不便を解決したい、という動機だけで十分に学び始める理由になります。
エンジニアになるための学習と、業務改善のための学習は、ゴールが違うだけで、どちらも正当な学び方です。「転職しないから」とプログラミングを選択肢から外していたなら、その線引きを一度外してみてもいいのかもしれません。
転職しなくても学んでいい
転職を前提にした学習記事を読んで「自分には関係ない」と感じていたなら、まずはその前提を疑ってみてください。学ぶ理由は、今の職場の中にもすでにあるはずです。
次に読むべき記事
「業務改善のために何をどう学べばいいか」が気になった方は、次の記事も参考にしてみてください。実際に手を動かす段階の話を、もう少し具体的に解説しています。
- 製造業でPythonを独学する方法【仕事しながら2年で実務で使えるようになった手順】
- 製造業のためのPython完全マスター【初級・中級・上級】
- AIで業務ツールを作る方法|コードが書けない人でも来週には完成する手順
まとめ
プログラミングを学ぶきっかけは、転職やキャリアチェンジだけではありません。総務・経理・生産管理の現場で感じた「手計算や繰り返し作業の非効率」という具体的な問題が先にあったからこそ、学習を続ける理由がはっきりし、Webアプリや製造現場向けのツールを自作できるところまで進むことができました。「何のために学ぶのか」で立ち止まっているなら、今の仕事の中にある小さな不便を出発点にしてみるのがおすすめです。