「有給休暇って入社していつから使えますか?」
「交通費の申請ってどこにするんですか?」
…これ、1ヶ月に何十回聞かれるでしょうか。
私は以前、この手の問い合わせが月に30件以上来ていました。1件対応するのに5〜10分かかるとして、それだけで月に3〜5時間が消えていたのです。しかも毎回同じ質問。答えているうちに、さすがにもったいないと感じてきます。
社内FAQを整備すれば解決するとわかっていても、「いつ作るんだよ」という話で、後回しになりがちですよね。
ところが、ChatGPTを使えば、ゼロからのFAQ作成が3〜4時間で終わります。専用ツールも、APIの開発も、外部サービスの契約も不要です。
この記事では、ChatGPT単体で社内FAQを作る手順と、総務・人事向けのプロンプト集を紹介します。
結論:就業規則を読み込ませれば、FAQの素材は30分で揃う
社内FAQを作るとき、一番大変なのは「何を書くか考える」ことではないでしょうか。
でも実は、就業規則と過去の問い合わせメモさえあれば、ChatGPTが質問リストも回答も出してくれます。
流れは3ステップです。
- 素材を集める(就業規則・問い合わせ履歴・社内ルール集)
- プロンプトでQ&Aを生成する(質問リスト作成→回答生成の順)
- 確認・整形して公開する(Notion、スプレッドシート、社内ポータルに設置)
これだけで、月30件来ていた問い合わせが半分以下になるのです。
STEP1:素材を集める(30分)
集めるべき3つの素材
FAQの質・精度は、AIに渡す素材で決まります。3つ揃えれば十分です。
①就業規則・社内規程
有給休暇、欠勤、懲戒、育休…。社員からの質問の大半は、就業規則に答えが書いてあります。AIに読み込ませるだけで、問いと答えのセットを自動生成してくれます。
②過去の問い合わせ履歴
メール、Slackのやり取り、手書きメモ…。形式はなんでも構いません。「過去にどんな質問が来たか」をAIに見せると、質問リストの精度が上がります。
③社内ルール集・業務マニュアル
有給の申請方法、交通費の精算フロー、備品の発注手順など。手順系の質問への回答は、既存のマニュアルを参照させるのが一番精度が高いのです。
問い合わせ履歴がない場合は?
「うちは問い合わせをメモしてこなかった」という会社も多いです。
その場合は、ChatGPTに「新入社員が総務に聞きそうな質問を30個出して」と頼みましょう。入社1〜2ヶ月の社員が疑問に思うことは、業種・規模を問わずほぼ共通しています。
STEP2:プロンプトでQ&Aを生成する(1〜2時間)
手順①:質問リストを作る
まず質問だけを出力させます。回答と同時に作ろうとすると、質の低いFAQになりがちなのです。
▼プロンプト(就業規則から質問リストを生成)
あなたは経験豊富な総務担当者です。
以下の就業規則を読んで、新入社員が疑問に思いそうな質問を30問リストアップしてください。
【出力条件】
・質問のみ出力(回答は不要)
・番号付きリスト形式
・就業規則に答えが書いてある質問に絞る
・専門用語が含まれる場合は平易な言葉に言い換えた質問にする
【就業規則の抜粋】
(ここに貼り付け)
▼プロンプト(問い合わせ履歴から質問リストを生成)
以下の問い合わせ履歴を読んで、よくある質問を整理してください。
【出力条件】
・重複する質問は1つにまとめる
・質問のみ出力(回答は不要)
・番号付きリスト形式
・質問の多い順に並べる
【問い合わせ履歴】
(ここに貼り付け)
▼プロンプト(問い合わせ履歴がない場合)
あなたは中小企業の総務担当者です。
新入社員が入社後1〜3ヶ月以内に総務に聞きそうな質問を30問リストアップしてください。
【出力条件】
・カテゴリー別に整理(有給休暇・給与・社会保険・交通費・備品・その他)
・質問のみ出力
・難しい言葉を使わない
手順②:質問に対する回答を生成する
質問リストが揃ったら、次は回答を作ります。就業規則や既存マニュアルを参照させることで、根拠のある回答になります。
▼プロンプト(就業規則を参照して回答を生成)
あなたは経験豊富な総務担当者です。
以下の就業規則を参照して、質問リストへの回答を作成してください。
【出力条件】
・Q & A形式(Q:質問文、A:回答文)
・回答は150〜250字程度
・難しい法律用語は使わない
・就業規則の該当条文番号を回答末尾に(任意)
【就業規則の抜粋】
(ここに貼り付け)
【質問リスト】
(手順①で生成した質問リストを貼り付け)
▼プロンプト(手順フロー系の質問への回答)
以下のマニュアルを参照して、各質問への回答を作成してください。
【出力条件】
・Q & A形式
・手順系の回答は番号付きステップで
・「どこで」「誰に」「何を提出するか」を必ず明記する
【マニュアル・業務フロー】
(ここに貼り付け)
【質問リスト】
(ここに貼り付け)
シーン別FAQ作成プロンプト【総務・人事版5選】
①新入社員向けFAQ(有給・交通費・社会保険)
あなたは中小企業の総務担当者です。
新入社員向けのFAQを作成してください。
【出力条件】
・カテゴリー:有給休暇(5問)、交通費精算(5問)、社会保険(5問)
・Q & A形式
・回答は平易な言葉で150字以内
・想定読者:社会人1年目(労務知識ゼロ)
【会社のルール】
(就業規則や申請フローを入力)
実際にこのプロンプトで作ったFAQを社内Notionに置いたところ、月30件来ていた新入社員からの問い合わせが翌月18件になりました。翌々月は11件。FAQが浸透するまで2〜3ヶ月かかりますが、効果は確実に出るのです。
②採用関連FAQ(応募者からよく来る質問)
あなたは採用担当者です。
求人サイトやメールで応募者から届きやすい質問と回答を作成してください。
【出力条件】
・件数:15問
・カテゴリー:選考フロー(5問)、待遇・条件(5問)、入社後(5問)
・Q & A形式
・トーン:親しみやすく、具体的に
【会社情報・採用条件】
(求人票の内容や採用条件を入力)
採用担当として感じるのですが、応募者向けFAQがあると、説明会や面接の「前置き」が大幅に減ります。「御社の選考は何次までありますか?」という質問を面接中に受けなくなるだけで、面接の密度が変わるのです。
③労務・手続き系FAQ(入退社・申請手続き)
あなたは人事・総務のベテラン担当者です。
入社・退社時の手続きに関するFAQを作成してください。
【出力条件】
・件数:20問(入社時10問・退社時10問)
・Q & A形式
・回答には「いつ・誰に・何を提出するか」を必ず含める
・難しい法律用語は使わない
【手続きフロー】
(入退社の手続きフローを入力)
④ハラスメント・相談窓口FAQ
あなたは人事・コンプライアンス担当者です。
ハラスメント相談窓口に関するFAQを作成してください。
【出力条件】
・件数:10問
・Q & A形式
・回答は安心感を与えるトーンで
・秘密保持の説明を複数問に含める
【禁止事項】
・具体的な事例や個人が特定される内容は含めない
・脅すような表現は使わない
⑤リモートワーク・制度変更時のFAQ
あなたは総務担当者です。
リモートワーク制度の導入・変更に際して社員が疑問に思いそうなFAQを作成してください。
【出力条件】
・件数:15問
・Q & A形式
・カテゴリー:対象者・申請方法・費用・備品・セキュリティ
【制度の概要】
(新制度の内容を入力)
STEP3:確認・整形して公開する(30分〜1時間)
AIの出力をそのまま使わない3つの理由
- 数字・日付が古い可能性:就業規則の改定が反映されていないことがある
- 回答が曖昧になる場合がある:「場合によります」など断定を避ける傾向がある
- 会社固有のルールを知らない:AIは一般論を出す。自社の例外ルールは手で追記する
確認のポイントは3つです。
- 日付・数字(日数・金額・期間)は正確か
- 「誰に・いつまでに・何を提出するか」が明確か
- 法的に問題のある内容がないか(就業規則と矛盾していないか)
FAQの置き場所はどこがいいか
| 場所 | 向いているケース |
|---|---|
| Notion / Confluence | 更新が頻繁、全社員がアクセスできる環境 |
| Googleドキュメント / スプレッドシート | Googleワークスペース導入済みの会社 |
| 社内ポータル / 掲示板 | 社内イントラが整備されている会社 |
FAQは作って終わりではなく、「誰でもすぐ見つけられる場所に置く」ことで初めて機能します。Slackのピン留めやメニューへのリンク追加なども併用するのがおすすめです。
FAQ作成後のメンテナンス:年2回で十分
FAQは作ったら放置しがちです。でも、就業規則の改定や制度変更のたびに内容が古くなります。おすすめのタイミングは年2回。4月(新年度)と10月(就業規則見直しが多い)です。
▼メンテナンス用プロンプト
以下の就業規則の変更内容を反映して、既存FAQをアップデートしてください。
【変更内容】
(ここに変更点を入力)
【現在のFAQ】
(ここに既存FAQを貼り付け)
【出力条件】
・変更した箇所は【更新】と冒頭にマークする
・内容に変更がないQ&Aはそのまま出力
まとめ:FAQ整備は「一度作れば何年も働く」投資
AIで社内FAQを作る方法をまとめました。ポイントは3つです。
- 就業規則・問い合わせ履歴をAIに読み込ませるのが最速の素材収集
- 質問リスト作成→回答生成の2段階でプロンプトを分けると精度が上がる
- 公開場所と定期更新の仕組みまで設計して初めて「使えるFAQ」になる
3〜4時間で作ったFAQが、毎月5〜10時間の問い合わせ対応を代わりにやってくれます。その時間で、もっと価値ある仕事ができるのです。
FAQを作り終えたら、次は「自動化」を考えたくなる
社内FAQを整備すると、次は「よくある問い合わせを自動返信できないか」「Slackのbotで答えてくれないか」と考え始めるのではないでしょうか。
そこで武器になるのがプログラミングです。PythonとSlack APIを組み合わせると、FAQを参照してSlackで自動返答するbotが作れます。「総務の仕事でExcelやデータ整理をしてきた感覚」は、プログラミングの学習でも必ず活きます。プログラミングスクールを利用してみる価値は十分あります。
また、「AIを使える総務」「仕組み化できる総務」は、転職市場でも確実に評価されていきます。今の職場でスキルを磨いた上で、自分の市場価値を転職エージェントで確かめてみるのもおすすめです。特に採用・労務の経験がある総務は、人事・バックオフィス系のポジションで即戦力として見てもらいやすいです。