- 問い合わせを月200件こなしても、
評価面談では「業務を遂行してくれた」の一言で終わる - 法改正対応を一人で期限内に仕上げても「やって当然」として流される
- 備品コストを削減しても、誰にも気づかれない
「頑張っているのに、報われない。自分の努力が足りないのか…」
総務の仕事をしていると、こういう気持ちになることはないでしょうか。
実は、この感覚を持っているのはあなただけではありません。
総務関連メディアの調査(2021年実施・回答者250名)では、総務担当者の54%が「自分の仕事が適正に評価されていない」と感じているというデータがあります。半数以上が同じ状況にいるのです。
そして重要なのは、これが「あなたの努力不足」ではなく、総務という仕事の構造から来る問題だということ。
この記事では、総務歴10年の筆者が「なぜ総務は報われないのか」を構造から解説し、自分の状況に合わせた対処法をお伝えします。読み終えたあと、「自分はどのパターンで、次に何をすべきか」が見えてくるはずです。
総務が「報われない」と感じるのは、構造の問題
まずはっきり言っておきたいのですが、総務が報われないのは、あなたが頑張っていないからではありません。構造上、そうなりやすい仕事なのです。
成果が「ゼロ」にしかならない評価構造
営業なら売上、エンジニアならリリースした機能。
多くの仕事には「プラスの成果」が見える形で残ります。
ところが総務の仕事は違います。「法改正に対応した」「トラブルなく行事を運営した」「書類ミスを出さなかった」。
これらはすべて「ゼロ(何も起きなかった)」という結果です。
うまくいっていると、誰も気づきません。
ミスが出たとき初めて「なんで?」と言われる。
これが減点主義の評価構造です。
頑張れば頑張るほど「当たり前」として処理される。この構造に気づかないと、どれだけ努力しても評価が上がらない理由が永遠にわかりません。
「当たり前」とされる仕事には誰も感謝しない
電気がつく、水道が出る、ネットにつながる。
生活インフラは普段誰も意識しません。
壊れたときだけ怒られる・・・。
総務の仕事はこれと同じ構造です。
私が総務に異動して最初に気づいたのは、「仕事がうまく回っているとき、誰も総務の話をしない」という事実でした。感謝されるどころか、存在すら意識されていない。
それは自分の能力の問題ではなく、「見えていないと感謝できない」という人間の認知的な限界でもあるのです。
コスト部門扱いされる組織文化
多くの会社では、営業・製造・開発が「稼ぐ部門」として扱われ、総務・人事・経理は「コスト部門」として扱われます。コスト部門は、うまく動いていても「経費」として見られるだけです。
「時間をかけても利益をうむわけでは無い。」って
残業も厳しく言われますよね。
売上に貢献しないため、経営判断の優先度で下位に置かれやすい。これは組織文化の問題であり、個人の努力でどうにかなる部分ではありません。
総務の「報われなさ」3つのパターン
「報われない」といっても、その状況は人によって違います。
自分がどのパターンなのかを把握することが、対処法を選ぶ第一歩です。
パターン①:上司・経営層に気づかれない
毎月大量の業務をこなしているのに、評価面談では「業務を遂行してくれた」の一言で終わる。頑張っていることは知っているはずなのに、なぜかコメントが薄い…。
このパターンは、「仕事量」と「成果」を上司が結びつけていないことが原因です。
上司には「今月も問題なく回っていた」という結果だけが見えています。その裏でどれだけの処理をしていたか、どんなリスクを回避したかは見えていません。
パターン②:他部署から「何でも屋」扱いされる
「それ、総務に頼めばいい」「よくわからないけど総務に投げとこう」。
会社によっては、総務が「便利屋・雑用係」として使われているケースがあります。本来の業務ではないタスクが次々と振り込まれ、断れない雰囲気がある。
これは「総務の業務範囲が曖昧」という組織の問題でもあります。ただ、結果的に割を食うのは総務担当者です。
パターン③:給与・評価制度に反映されない
一生懸命やっても評価面談のコメントが薄く、昇給額が他部署より低い。「総務だから」と言われたわけじゃないけど、そういう空気がある。
これは評価制度の設計上の問題です。
定量目標が立てにくいのは事実です。こういった職種は、評価制度上で不利になりやすい。
同調査では、82.8%が「ロールモデルが社内にいない」と回答しています。キャリアの見通しが立たないのは、制度と文化の問題が重なっているからなのです。
パターン別の対処法

構造の問題だとわかっても、「じゃあ何もできない」は違います。
自分の状況を動かせる可能性はあります。
①上司に気づかれない場合:「見せ方」を変える
やることを変えなくていい。
伝え方を変えるのです。
具体的には、月に1回A4一枚で「今月やったこと・解決したこと・改善したこと」を上司に渡す習慣を作ることです。
- 「問い合わせ対応を150件処理」→「FAQを整備し問い合わせ件数を前月比20%削減」
- 「法改正への対応を完了」→「法改正対応を期限5日前に完了、未対応リスクを事前に除去」
- 「備品の整理をした」→「在庫見直しで年間コスト8万円削減の見込み」
「やりました」を「●●が改善されました・●●のリスクが消えました」に変換するだけで、上司の見え方は別物になります。
私自身、これをやってから評価面談でのコメントが明らかに変わりました。そこでわかったのは経営層は「総務を評価したいが、どうしたらいいのかわからない」ということです。
意外ですが、総務は専門職なので、
経営層でも実務までわかってる人は珍しいのです。
より詳しい「みせ方」は、こちらにまとめています。
→ 評価される総務がやっている6つのこと|目標設定・報告・可視化の実践法
②他部署から雑用扱いされる場合:「線引き」を言語化する
「それは総務の業務範囲外です」
と言えない雰囲気がある職場は多いです。
だからといって全部受けていると、本来の業務が崩れます。
一番現実的なのは、「総務業務の範囲を明文化する」ことです。
部内でリスト化し、「これは総務、これは各部署対応」という基準を作る。
例えば「設備の故障修理手配は総務、修理そのものは施設部門」「社員からの法律的な相談の初期窓口は総務、専門的回答は顧問弁護士へ」といった境界線を書き出すだけでも効果がある。それを根拠に「こちらはご担当部署にご確認いただけますか」と言えるようになります。
感情ではなく「ルールとして」断れるようにする。これが、無理せず続けるための防衛策です。
③評価制度に反映されない場合:「環境を変える」選択肢を持つ
これが一番しんどいパターンです。
なぜなら、個人の行動だけでは変えにくい問題だからです。
評価制度が総務に不利な構造になっている会社では、「どれだけ頑張っても天井がある」という現実があります。
まず確認したいのは、「今の会社での打てる手は全部打ったか」です。数字化・定期報告・目標設定の工夫。これをやり切ってもまだ変わらないなら、それは環境の問題です。
環境を変える前に、1ヶ月だけ試してほしいことがあります。
次の評価面談に向けて、「何を達成したらどう評価されるか」を上司と事前に言語化・合意しておくことです。評価基準が曖昧な職場ほど、この「先出し確認」が効きます。
それをやり切っても何も変わらなければ、それは制度と職場の問題です。
しかし、大事なのは、総務経験は、他の会社では評価されやすいスキルです。評価されない企業で、大切な人生を費やすのはもったいないです。
いきなり環境を変えるのはハードルが高いかもなので、
まずは自分のキャリア設計に向き合ってみることをお勧めします。
→ 総務からのキャリア設計|「つぶしが利かない」を武器に変える方法
まとめ:報われないのは「あなた」の問題ではない
総務が報われないのは、あなたの努力が足りないからではありません。
- 成果が「ゼロ」にしかならない減点主義の評価構造
- 「当たり前」とされる仕事への無意識な軽視
- コスト部門扱いされる組織文化
この3つが重なっているから、報われにくいのです。
ただ、構造を理解した上で動くと、少しずつ変えられる部分はあります。
- 上司に気づかれていないなら → 見せ方を変える
- 雑用扱いされているなら → 線引きを言語化する
- 制度が合っていないなら → 環境を変える選択肢を持つ
どの選択をするかは、あなた自身が決めること。「今の環境で評価を上げたい」も「もう限界だ」も、どちらの気持ちも正しいです。
まずは自分がどのパターンなのかを整理して、次の一手を考えてみてください。
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→ 評価される総務がやっている6つのこと|目標設定・報告・可視化の実践法
総務からのキャリアを考え始めた方:
→ 総務からのキャリア設計|「つぶしが利かない」を武器に変える方法