社内問い合わせを効率化する方法6選|総務歴5年が予算ゼロから始めた手順

また同じ問い合わせか・・・。
これ効率化できないかな?

有給の申請方法、給与明細の見方、備品の発注ルール・・・。毎月同じ質問が来ませんか?

メールや、電話、チャットなど。人によっては席まで直接来る。
対応するたびに業務が止まり、「あれ?何してたっけ?」って気づけば1日が終わっている。

製造業(社員200名規模)の総務部で5年以上担当してきた私も、そういう状況でした。

ふと1ヶ月分の問い合わせ記録を数えてみたら、月に80件以上あって、そのうち6割以上が「同じ質問の繰り返し」でした。

これ、AIボットにできないかな?

って思った人は多いはず。
でも、セキュリテイ問題、コスト問題などですすめるにはハードルが高い。

そんな方に向けて、私が実際に取り組んだ社内問い合わせの効率化手順を紹介します。

ツール導入の話は後半に出てきますが、まず「仕組みを作ること」から。仕組みがない状態でどんなツールを入れても問い合わせは減りません。その順序をしっかり説明します。

予算がなくても、ITが得意でなくても、今日から着手できる内容です。

この記事を読み終えるころには、明日から始められる問い合わせ削減の手順がわかります。

この記事で紹介する6つのアクション

  1. 問い合わせの棚卸し(何が多いかを把握する)
  2. 社内FAQページの作成(繰り返し質問を自己解決できる場所を作る)
  3. 問い合わせ窓口の一本化(バラバラな経路をフォームに集約する)
  4. 回答テンプレートの整備(属人化を解消して対応を標準化する)
  5. 問い合わせ管理ツールの導入(件数が増えてきたら検討する)
  6. 社内ナレッジベースへの発展(FAQをより使いやすく育てる)

①〜④が予算ゼロでできること。
⑤⑥が仕組みが整った後に検討するツール活用です。

それぞれ順に解説します。

社内問い合わせが減らない本当の理由

問い合わせが来るたびに対応するだけでは解決しない

問い合わせ対応が大変だと感じている担当者は多いですが、多くの場合、「来た問い合わせに答え続けること」で時間を使いきっています。

ただ、それだと根本的には何も変わらないのです。

来月も同じ件数、来年も同じ内容の問い合わせが来ます。

  • 問い合わせに「答える」こと
  • 問い合わせを「減らす」こと

これは、まったく別の作業なのです。

「いつか整理しよう」と思いながら何年も経ってしまっている担当者の方、心当たりはありませんか。

根本原因は「情報の在り処がわからない」こと

社員が問い合わせてくる理由は、意外と単純です。「どこを見たらわかるのか、わからない」からです。

就業規則はどこに置いてある?有給の申請フォームはどこ?備品を買いたいときは誰に言えばいい?ベテランには当然のことでも、入社して間もない社員や、普段その手続きをしない人には、まったく見当がつきません。

つまり、問い合わせを減らすためにやるべきことは「情報を見つけやすい状態を作ること」です。ツール云々の前に、この設計ができていないと何も変わりません。

意外と「総務に聞くのも忍びない。」って人も多いです。

Step1. まず問い合わせを棚卸しする(ここを飛ばすと失敗する)

ここが一番大事なステップです。

多くの記事が「FAQ整備をしよう」「ツールを入れよう」とすぐ対策の話に入りますが、何を対策すればいいかわからない状態でツールを導入しても効果は出ません。

1ヶ月分の問い合わせを種類別に分類する

まず1ヶ月間、来た問い合わせをすべて記録します。メール・電話・口頭・チャット、どの経路でも構いません。以下の4項目だけ記録してください。

  • 日付
  • 問い合わせ内容(一言で)
  • カテゴリ(給与・福利厚生・手続き・備品・IT・その他)
  • 初めての質問か、繰り返しか

Excelのシートに5列作るだけで十分です。

私が実際にやったときは、1ヶ月分でA4一枚に収まるくらいの量でした。でも、それを並べてみると「給与・勤怠関連が全体の4割を占めている」ということが初めて見えてきました。

「繰り返し質問」と「一度だけの質問」を分ける

棚卸し結果を確認したら、「繰り返し質問」と「一度限りの質問」に分類します。

分類対策の方向性
繰り返し質問(月2回以上)FAQページ・テンプレートで自己解決できる仕組みを作る
一度限りの質問対応フローを整備して、誰でも回答できるようにする
複雑・個別判断が必要ルールを明文化 or 担当者を明確にする

「繰り返し質問」に絞って対策するだけで、全体の問い合わせ件数の5〜6割は減らせる見込みがあります。多くの場合、上位5〜10個の質問で全体の過半数を占めているからです。

Step2. 予算ゼロで今日からできる効率化3選

棚卸しが終わったら、対策に入ります。まずはお金をかけずにできることから始めます。ここをすっ飛ばしてツール導入に走ると、「ツールはあるのに使われない」「ツールのメンテナンス、コストだけかかる」という状況になりがちです。

①社内FAQページを作る(Notion・Googleサイト)

繰り返し質問トップ10を集めて、Q&A形式でまとめたページを作ります。社員が「あ、ここを見ればわかる」という場所を一つ作ることが目的です。

おすすめのツールはNotionかGoogleサイトです。
どちらも無料で使えて、社内で共有できます。

  • Notion:デザインがシンプルで見やすい。無料プランで十分使える
  • Googleフォーム:GoogleアカウントがあればOK。Googleドライブと連携しやすい

Notionでの作成手順(初めての方向け)

  1. Notionを開き、無料アカウントを作成する
  2. 左メニュー「+ 新規ページ」から「社内FAQ」というページを作成する
  3. Q&A形式でよく来る質問と回答を入力する(最初は5問だけでOK)
  4. 右上「共有」→「リンクをコピー」してURL取得し、全体チャットやメールで社員に周知する

FAQ作成のポイントは「完璧を目指さないこと」です。よく聞かれる5問だけ書いて公開するくらいのスピード感で動いた方がいい。整いすぎるまで公開しないと、結局何ヶ月も経っても「準備中」のまま終わります。

FAQを作ったら、社内への周知も忘れずに。「〇〇については、まずこちらのページを確認してください」という案内を、全体チャットやメールで送ることで使われるようになります。

②問い合わせ窓口を一本化する(フォーム化)

口頭・電話・メール・チャットと、バラバラな経路で問い合わせが来ている状態のままでは、対応漏れや記録の管理が難しくなります。

Googleフォームで問い合わせフォームを一つ作り、「まずここから送ってください」とルールにするだけで、対応状況の管理が格段に楽になります。

フォームに入力してほしい最低限の項目はこの3つです。

  1. 氏名・所属
  2. 問い合わせカテゴリ(プルダウン式で選ばせる)
  3. 内容の詳細

フォームから送信されたデータはGoogleスプレッドシートに自動で蓄積されるので、月次集計もそのまま使えます。この一本化だけで対応漏れが激減します。

次のステップとして、定型メール自動返信する方法を記事にまとめてみました。試してみてください。「 定型メールを自動化する方法|Gmail・Outlook別に総務担当がステップで解説

③回答テンプレートを作成・共有する

同じ質問に毎回ゼロから答えているなら、
回答テンプレートを作るだけで対応時間を半分以下にできます。

Googleドキュメントやスプレッドシートに「よく来る質問と回答文」を一覧にしておいて、担当者全員が使えるようにしておく。

これだけで、回答内容が担当者によってバラバラになる「属人化」も解消できます。

私が実際に作ったのは、「給与・勤怠関連の回答テンプレート集」で、20問分のQ&A文章を一覧にしたGoogleスプレッドシートです。20問だけでも意外と有効です。

これを作ってからは、同じカテゴリの問い合わせ対応時間が3分の1になりました。

効率化をもっと整理したい方に向けてアイデア集です。「 総務の業務改善アイデア10選|予算ゼロ・今日から使えるものだけ選んだ

Step3. 仕組みができたら使えるツール3選

Step2の仕組みが動き始めたら、ツールの導入を検討してみてください。

ツールは「仕組みをより効率よく回すための補助」です。
仕組みがない状態でツールを入れると、使われないまま終わります。

④問い合わせ管理ツール(tayori・Freshdeskなど)

問い合わせの受付・対応状況・履歴管理を一元化できるツールです。

Googleフォーム運用で「件数が増えてきた」「複数人で対応したい」という段階になったら検討するのがいいタイミングです。

  • tayori:日本語UIで使いやすい。無料プランあり。フォーム・FAQ・チャットを一括管理できる
  • Freshdesk:海外製だが無料プランが充実。メール・チャット統合が強み

社員数が50人を超えてきたり、月100件以上の問い合わせが来るようになったりしたら、ツール投資の費用対効果が出てきます。

それ以下の規模なら、まずGoogleフォームで十分です。

⑤チャットボット導入(FAQが50件以上整備されてから)

「チャットボットを入れれば解決する」という話をよく聞きますが、前提として「FAQが十分に整備されていること」と「問い合わせ量がある程度多いこと」が必要です。

FAQがスカスカな状態でチャットボットを入れても、「回答が見つかりません」が連発するだけです。社員からの信頼を失って、結局「直接聞いた方が早い」という元の状態に戻ります。

目安として、FAQが50件以上蓄積されてから導入を検討するのがおすすめです。

チャットボットは「仕組みの最終形」です。Step1・Step2が整った後の話として考えてください。

⑥社内ナレッジベース(Notion・Confluence)

FAQページが育ってきたら、ナレッジベース(社内情報のデータベース)として整備していく段階があります。

  • Notion:無料で使えて、チーム共有も可能。社員数が少ない会社なら最後までNotionで完結できることも多い
  • Confluence:JiraなどAtlassian製品を使っている組織に向く。規模が大きくなってから検討でよい

ナレッジベースを使いながら、返信忘れなどを防ぐための社内通知と組み合わせた運用も考えてみました。ぜひ参考にしてみてください。「社内通知を自動化するツール5選|総務担当がノーコードで今日から始める設定手順

問い合わせ効率化の進め方チェックリスト

取り組むべき順序を整理します。
自分が今どのステップにいるか確認して、次の行動を決めてください。

  • 1ヶ月分の問い合わせを記録する
  • 問い合わせをカテゴリ別に分類する
  • 繰り返し質問トップ10を特定する
  • FAQページ(Notion or Googleサイト)を作成して社内に共有する
  • 問い合わせ窓口をGoogleフォームに一本化する
  • 回答テンプレートを作成してチームで共有する
  • 月次でFAQとテンプレートを更新する運用を決める
  • (件数が増えたら)問い合わせ管理ツールを検討する
  • (FAQが50件以上になったら)チャットボット導入を検討する

上から順番にやっていくことが重要です。

まとめ

ツールより先に「仕組み」を作ることが成功の条件です。

社内問い合わせの効率化で最初にやるべきことは、ツールの選定でも予算取りでもありません。「今どんな問い合わせが来ているかを把握すること」です。

棚卸しなしにFAQを作っても、誰も使わないページができ上がるだけです。ツールを入れても、入力すべき情報がなければ動きません。

順序は必ずこうです。

  1. 問い合わせの棚卸し(何が多いかを知る)
  2. 繰り返し質問にFAQ・テンプレートで対応する
  3. 窓口を一本化して管理を楽にする
  4. 仕組みが動いてからツールで拡張する

私が総務担当として一番実感したのは、「仕組みができると問い合わせが自然と減っていく」ということです。

FAQページを作って社内に案内した翌月から、給与・勤怠カテゴリの問い合わせが4割減りました。ツールを一切使わずに、です。

まず棚卸しから始めてみてください。1ヶ月分記録するだけで、次にやるべきことが見えてきます。


総務DX全体の進め方については、こちらの記事でまとめています。
総務DX、何から始める?今日できる最初の一手と失敗しない進め方